3.《ネタバレ》 JCVD本人には、充分にコメディセンスがあるということがわかった。
自分が「出稼ぎベルギー人」であることを宣言したような作品。
…けど、20年に渡ってハリウッドのB級作品に出続けたカレは、もう純粋な意味で「出稼ぎベルギー人」ではなくなっていたみたいなんだ。
ヨーロッパ人のメンタリティを持つはずのカレが、セピア色の画面では到底ごまかしきれない強烈な「ハリウッド臭」を発してしまっていると、私は思う。
増毛や、顔と体の「お直し」をしている人特有のこの感じ。
ヨーロッパの俳優は「お直し」をしない。
銀行強盗シーンがとてもつまらなく、JCVDの回想シーンの自虐ギャグだけが非情に面白く、残念。
カレにとって、ハリウッドで仕事をして生きていくことは、日々銀行強盗の人質に取られているような緊張感や不条理と共に過ごすということであったのだろう。
右や左に駒のように動かされて、言われたとおりにするだけで、自由がなく、自分の意思は無いものとされる。
だから「銀行強盗の人質」だったので、その重苦しさを思う存分表現したのであろう。
けど、犯人役の設定が非情すぎて観客はこの「不条理」についていくのが大変…う~んほとんど無理。
この一作でちょっとスッキリしただろうから、次はもっと楽しめる自虐コメディを作れるんじゃないかな~出資者さえいれば。