8.決して褒められた映画でないことは分かっている。分かっているが、結局「面白い」と思ってしまうのだから、もうこれは個人的な趣向であり仕方がない。
ありきたりな展開に、取って付けたような台詞回しが網羅され、全編通して失笑が無くなることはないのに、用意された娯楽性を充分に堪能してしまう。
それは、この映画シリーズに共通することで、詰まるところ、突っ込みどころは満載だけれど僕はこのシリーズの世界観そのものが嫌いじゃないんだろうと思う。
福岡県沖に建設された巨大天然ガスプラント施設にて不慮の事故で火災が発生し、当然の如く主人公たちのチームが現場へ向かう。
前作でも不満に思ったが、このシリーズは事故発生のプロセスが性急過ぎる。加えて主要登場人物たちのバックボーンを垣間見せる程度のプロローグも殆どないので、そもそもにおいて感情移入をする暇がない。
そのことが映画全体に蔓延する「取って付けた感」の最たる要因だろう。
今作で舞台となる天然ガスプラントは、政治的背景も絡ませやすく題材としては面白く思えたが、結局描き出される展開は前作の完全なる二番煎じである“ポセイドン・アドベンチャー”的ストーリーであり、あまりに新しさに欠けていたことは否めない。
と、自分の中の冷静な部分は映画における粗を的確に捉えているのに、それに反するかのようにクライマックスに合わせてまんまと高揚感は高ぶってしまっている。
「何なんだこれは?」と自分の中で不思議に感じつつも、これまた繰り返されるお決まりのクライマックスシーンにジワリとくる始末。
何の工夫もない馬鹿正直な“熱さ”に辟易しながらも、最終的にはいつもその“暑苦しさ”に呑み込まれてしまう。この映画シリーズには、そういう理屈ではない強引さだけは備わっていると思う。
そう自分自身に“いいわけ”して、公開中の最新作もちょっぴり気になってしまうのだった。