1.《ネタバレ》 CIAのエージェントであることがマスコミに漏洩、暴露された事件である「プレイム事件」をもとにした作品。同じ題材を扱った、後発の『フェア・ゲーム』もヒットしませんでしたが、『ザ・クリミナル 合衆国の陰謀』はもっと悪く、アメリカで公開さえできませんでした。ただしこれは合衆国の陰謀ではなく、製作会社が破産してしまったためのようです。
キャスティングはよく、演出も悪くないと思いましたが、この題材を扱うのであれば、ノンフィクションという体をとらなければ難しいのでは、と感じました。
映画をおもしろくするために事実を改変したというのならわかりますが、この作品の場合、エンターテイメントのためではなく、真実味を出そうとして改変しています。拘置所に拘留される主人公の夫が、主人公の拘留中に浮気をしたり、主人公が子どもの親権を奪われたりするのは、事実なら興味深いですが、主人公に同情させようとしているような制作者の意図を感じます。逆に主人公を支える健気な夫像を描いて美談にするのも難しいところですが、エンターテイメントにするならそうして欲しかったと思います。つまるところ、この映画の制作者はこの映画をエンターテイメントとして描きたかったのではないのでしょう。
いろいろ書きましたが、俳優のアンサンブルはよく、見ごたえはあります。