2.《ネタバレ》 点数のほとんどは深津絵里に捧げるものです。
今作の最初の山場である田宮良子(田村玲子)の最期のシーンは、深津絵里の素晴らしい演技によって哀しくも感動的なシーンになりました。
彼女は凄いです。
無表情な中にも感情を垣間見せたり、母性の現われを感じさせたり、自分が自然と笑顔を作ったことに驚き、それを再現して大笑いするところなど、ことごとく感心させられました。
「我々はか弱い。あまり虐めるな」という言葉が、しみじみと深く入ってくるのも、透明感がありかつしっかりした綺麗な彼女の声色だからだと思ういます。
深津絵里以外で良かったのはピエール瀧。
あの作り笑いの「ハハ!」はいいですね。不気味なのに笑えました。
それと冒頭のミギーと新一がお味噌汁作るとこ。あそこも良かったです。
ミギーが完全に可愛いペットみたいになってるのも、声が阿部サダヲなのも、あのシーンだけは許せました。
その他は、あまり褒めるところがありません。
中でも残念なのは、後藤との対決がゴミ処理場だったこと、むりやり里美とのラブシーン入れてるところ(あんな所で初体験とかイヤでしょ)、浦上が何故最後に新一に絡むのか説明不足なところ。
山中のゴミ捨て場だからこそ、猛毒が含まれる産廃をこっそり山中に捨てていく身勝手な人間を描き、削除された美津代さんのエピソードで人間の暖かい人情を描き、人間の存在を深く考えられる部分であったと思います。
後藤に「ささやく声」の解釈など喋らせないで欲しかったです。
そこは、彼らが何故出現したのか、ひいては人間の存在意義についても、観客の想像力を働かせる余地を残すべきだと思います。
こういう余計な説明はするのに、何故浦上との対決が最後にもってこられたのか、それについてはもう適当な感じです。
浦上の突きつける「俺こそが人間らしい人間だろう」という問いかけは、それまでの新一の心理描写や葛藤
を現すエピソードが割愛されているので、原作未読の人には唐突に感じられるのではないかと思いました。