2.《ネタバレ》 なかなか真に迫っていたように思います。たしかに当時、ちょっとでも怪しいアラブ系は片っ端から拘束されていた印象があります。白か黒かはどうでもいいという感じ。それがアメリカにとって「正義」であり「報復」だったわけで、なんとも恐ろしい話です。
しかし、作品として上品すぎるというか、何か物足りない感じがするのもたしか。当時の報道によれば、もっとえげつない拷問が行われていたはずで、それも収容所の官吏による私怨もしくは憂さ晴らしもしくは遊び半分が目的だったと記憶しています。ところがこの作品では、当初は比較的穏便だったのに、ラムズフェルドの命令一下、無理やり自白に追い込まざるを得なくなったような描き方でした。何が真実かは知る由もありませんが、ラムズフェルドに責任を押し付けてお茶を濁しているような気がしないでもありません。
それに衝撃的だったのはラストのテロップ。無罪が確定した後もなお、数年にわたって拘束され続けたとか。法治国家でこんなことが許されるのか。劇中でカッコよかったジョディ・フォスターやカンバーバッチ(が演じた人物)は、これに対してアクションを起こさなかったのか。この部分のドラマをもう少し見たかった気もします。
この作品はBBCの制作だそうで、さすがという感じです。少なくともNHKには絶対に作れないでしょうねぇ、いろんな意味で。