5.《ネタバレ》 ガイラ、怖えぇ~。約40年ぶりの鑑賞だったが、こんな恐ろしい映画だったのか。冒頭、船員がガイラに追われて夜の海を泳いで逃げるカットは絶望を絵にしたような恐ろしさがあった。あの船員にだけはなりたくない。ガイラは捕まえるとすぐ口に運ぶ。「人・即・喰」。衣類だけが、スイカの種のように「ペッ」と吐き出される。ガイラが水中から漁船を見上げているカットも心臓に悪いくらい怖い。羽田上陸シーンは空港の広さとの対比が良く撮れている。特撮、頑張ってました。
でも、考えてみれば、ガイラは行儀を教わっていないので、動くものが全て食事に見える訳だ。たまたま人の大きさがひと口サイズで食べやすく、たくさん目に付いたから食べた。食べる為に海から陸に上がった。野生動物の捕食行動だ。ガイラも子供の頃にアケミさん(=水野久美)に優しくしてもらえば、あんなにグレなかったはずだ。ちょっと同情する。
自衛隊が活躍する。しつこいくらいに攻撃準備を描写するけど、実際にガイラを追い詰めるから大したものだ。田崎潤さんもたまにはいい仕事をする。叩き込まれた砲弾量を証明するかのように、ガイラの着ぐるみにセットした花火が炎となって燃え上がる。「カット!」の後、スタッフが駆け寄って必死に火消しをした姿が目に浮かぶ。中にいる人の火傷が心配になった。その後のガイラは痛々しく皮膚から血を流し続ける。あれで海に入ったら、飛びあがるくらいしみるはずだぞ。
対するサンダは草食系男子。男子だよね? ブサイクなガイラに対して、同種の着ぐるみでも山奥の仙人のような風格があった。「フランケンシュタイン対地底怪獣」では、こんな風貌じゃ無かった気もするが、記憶が薄れて良く分からない。
あのタイミングで海底火山の爆発に巻き込まれる確率は天文学的に低いと思う。ちなみに、子供の頃はサンダとガイラの見分けは付いても、名前の振り分けに混乱した。今回、サンダが「山(サン)」で、ガイラが「海(カイ)」だったことに気づいた。歳を取って知恵がついたことを実感した。