2.《ネタバレ》 忠臣蔵のストーリーを現代(製作当時)のサラリーマン社会に置き換えた東宝の喜劇映画で、一応、社長シリーズの一篇ということになっているが、ストーリーの展開上、森繁久彌は社長(浅野)ではなく、専務(大石)ということになっているなど、従来のこのシリーズの設定とは異なる部分があるのだが、このシリーズを見るのがものすごく久しぶり(本作自体は見るの二度目だけど。)なせいか、ほとんど気にせずに見ることができた。全体的に見て東宝らしい明るい軽めの喜劇映画なのだけど、思ったよりは真面目に忠臣蔵をパロディー化している印象で、吉良(東野英治郎)をレセプション会場で殴ってしまった浅野(池部良)が謹慎を命じられ、その後に事故死する件や、フランスから帰国した大石が浅野の墓参りをするシーンは少しシリアスに描かれているし、浅野の後任の社長に就任した吉良が自らの意に沿わない社員を次々と左遷していく展開もしっかりした描き方をしている。でもだからこそラストで吉良に反旗を翻す大石たちの行動は見ていてスカッとするものがあった。従来の社長シリーズ同様に二部作構成で、後編まで見ないとストーリーが完結しないのだが、元が有名な話で結末まで分かっているとはいえ、見終わって続きも見たいと思わせてくれるところが良い。東宝サラリーマン喜劇100本記念映画で、三船や池部良をはじめ、志村喬など普段はこの手の映画であまり見ることのないような豪華な俳優陣が脇で出演していて、プチオールスター映画としても見どころのある映画だ。(2018年3月23日更新)