1.1952年のオムニバス『七つの大罪』から10年後、「新しい波」の面々が撮る『新・七つの大罪』。
第一部の『憤怒の罪』は、アルジェリアからベトナムへと続いていく動乱の60年代を予見するような展開だが、ナレーションもフォローするように、以降は軽快な作品が続く。
いずれも、街路の往来を捉えるキャメラが新鮮だ。
『貪欲の罪』に映し出される夜のパリの繁華街。『大食の罪』の長閑な一本道。『怠惰の罪』の車窓を流れていく街路の光景。
中でも『淫乱の罪』で、ガールハントしながら街中をぶらつくローラン・テルズィエフを軽快に追いかけていくアンリ・ドカの縦横無尽なキャメラがいい。人波と陽光の出入りが開放的で若々しい。
(『憤怒の罪』の往来は少々作為が露でつまらない。)
そして短編集はやはり、キャストの魅力も要だ。
『傲慢の罪』での髪形の変化が艶めかしいマリナ・ヴラディ。
『怠惰の罪』で運転席のエディ・コンスタンティーヌをさり気なく誘惑するキュートなニコール・ミレル。
そして、取りを努める『貪欲の罪』の高慢風なダニエル・バロー。
彼女が、初心なJ・C・ブリアリに対して最後に見せる嬉しそうな笑顔が実に素敵だ。