1.DVDジャケットの雰囲気や、撮影をクリストファー・ドイルが担当しているところなど、期待は大きすぎるほどに膨らんだ。
期待を十分に満たしてくれたとは言い難いものの、それでも並の作品ではなかった。
実に余韻を残すストーリーで、ドイルの映像と相まって、鮮烈な印象を残した。
この監督の他の作品も是非観てみたくなったほどだ。
主演女優のヴィッキー・チャオは、それほど好みの顔立ちではないが、実に画的に映える女優だ。
ドイルの映像とのコラボレーションは、それになり成功していたのではないだろうか。
又、特筆すべきなのが、その音楽。
ラストで流れるアップテンポな音楽には、何か胸躍るものを感じた。
終り方の余韻もなかなかで、幾度かの鑑賞にも耐え得るレベルの作品だと思われる。
ストーリーは、ロマンス色よりもミステリー色の方が強く出ている為、謎かけ話が好きな人にとってはそれなり楽しめる内容だが、ムーディなロマンス劇を期待すると、少し物足りないかもしれない。
いずれにしても、本作がアジア映画ならではの魅力を放っていることは間違いないし、自分の好みど真ん中ではなかったにしても、並の作品からは決して感じられぬ空気感を、感じ取ることができた作品であった。
又、日本だとこういう作品は創れないだろうなぁ、とも思うわけで、アジア映画の良さを満喫できたという点については、十分満足のいく作品であった。