24.《ネタバレ》 犬神家の舞台が昭和22年で、本作は昭和27年の物語。
犬神家の続きものと言ってよいのか、同じ俳優が別な名前と役柄で出てくるから、慣れないと結構ややこしく感じる。橘署長は別人の立花刑事の役だから、金田一と初めて会った時の首を傾げるのが可笑しくて。
今回は山あいの村が舞台。自然の美しさと静けさ、夕方から日が落ちるのが早く、とても寂しげで怖さも感じる。
登場人物が多く、4世帯に女4人、娘4人、息子が3人?最初の方、名前が出る時に細かく顔がカット・インするの、便利で解かりやすいと思ったけど、覚え続けるのが大変で…鑑賞3回目にして金田一みたく家系図を作ってみたので、今回は何となく関係が解ったかな。
他人の話をべらべら喋る女中がザル屋なのを聞いて「ピッタリじゃ」には吹き出した。他にも金田一と磯川警部のやり取りが絶妙で面白く、自転車の二人乗りなんて何とも微笑ましい。
このシリーズの影のヒロイン草笛光子。殺人を問い詰める方言がなんか可愛い。
総社の宿でおはんが去年死んだと知らされる時とか、大瓶の中の大きなサンショウウオとか、恩田の写真を見る女3人とか、見ていてゾッとする演出が上手い。
極め付きが村娘を表した手毬をする日本人形。あんなの、子供の時見ていたらギャー!!だよね。
葡萄酒作りとか、田舎のモール詐欺とか、弁士の失業とか、あの時代ながらの問題・話題がなんかリアル。
同い年の仲良し村娘4人組に、これまた闇深い事実が隠されていたけど、子を思っての犯行って考えたとしても、あまりに突飛な動機。そんなの感情論で妨害するなり、口で上手く説明すればって思う。手毬唄にちなんだ殺人は、ご隠居以外に知っている人が居ないマイナーな唄なのに、どうしてその唄に合わせる必要があったのか?…まぁそういうの全部、犯人の心が病んでいたって思うとスッキリか。
でも源治郎と恩田の、村人との関係がどうもシックリこない。20年経った今なら過去のことだけど、当時はリアルタイムの人間関係があった筈で、それなのに、あんな小さな村で夫婦生活するなんて、当時の彼は何でそんなリスキーな事をしたのか。…もう一回くらい観れば何か掴めるかな?
犬神家同様に、戦後の怪談話として、観てる間“ヒエぇ~~…”ってなれる、とっても趣のある懐かしさと怖さ。