1.《ネタバレ》 焼却炉の設定が、というよりこのシーンでの所謂「J・キャメロン・ブルー」を
採り入れたライティングこそがキャメロン的なのだが、このつまみ喰いでとってつけた感が山崎貴らしいご愛嬌だ。
炉のオレンジと反面のブルーに照らされる中で主人公たちが展開するクライマックスの舞台は映画向きの彩りある改変として申し分ない。
(「原作に忠実でない」だの「メッセージ性がない」だのといった原作崇拝的、テーマ・メッセージ依存型
批判は、それこそ映画が別メディアである原作に従属していない証であり、原理的に反「反映画」という事なのだから、映画にとって褒め言葉だ。)
宙吊りのアーム上でありながら垂直軸のサスペンスは淡白だし、陽炎や火の粉による灼熱の感覚が物足りないのも如何にも山崎貴だが、
動物園での三つ巴の対峙シーンやラストの屋上シーンなどと共に
高所を舞台に取り入れながら健闘している。
深津絵里の夜のマンションでは、風の音響はありながら画面上は無風状態
であったり、一方で画面上では彼女の髪を揺らしながら風音の効果音を省いていたり。
そうした趣向も彼女の異質性を際立たせており、面白い。