8.《ネタバレ》 タイトルはやや誇大広告気味で、フェラーリ側の視点はほとんどないんですね。なるほどヨーロッパ圏ではルマン’66というタイトルで公開されたらしいとか
商売としてお上手といいますか、ルマン’66でお客は呼び込み辛いでしょうからね
本作のクライマックスで出される無茶な命令もこういう営業上の理由あってのことですから、内容を如実に表したメタいタイトルともいえましょうか
ルマン’66といっても単純にレースを楽しむ映画ではないんです。
販売競争では最初からフォードの圧勝で話にならないのでそこは描かれないかと思いきや、実はそれがいかにレースに影響を与えているかを描いている映画です
一つは、身内のねじ込みによる妨害です。もう一つは、モータースポーツのリザルトにまで影響を及ぼす資本力です
どうしても勝ちたいフォード側は、レギュレーションのグレーな部分を用いてでも勝ちにいきます
しかも、主役である二人が率先してこれを実行したのです
これは、フェラーリ側の指摘でオフィシャルに処分されそうでしたが、一応シェルビーの反論で事なきを得たように見えますが
実際はフォードの資金力を前にオフィシャルが強く物言えずに引っ込めたんだろうと考えられます
名門のフェラーリの指摘ですから、普通のチームならあっさりと失格になっていたでしょう
契約社会では資本力を背景にロビー活動をおこない、自分たちの有利になるようにレギュレーションを変更させて勝利するのを正しいこととしています
途中フォードの社長はヘリで食事に行ってしまい、フェラーリとの資金力の違いを誇示しています
シェルビーは、金では勝利は買えないと言っていました。純粋なのか欺瞞であるのか
確かに実際にトップチェッカーが必要ですが、はたして全く金の影響がないわけではなかったようです
ところどころ皮肉っぽくてやや滑稽な描かれ方をする契約社会の駆け引きがかなりのウェイトを占め、それにまつわる悲喜こもごもでドラマを形作っています
前半はかなり面白かったです。エンツォ・フェラーリの策に乗せられて怒りからルマンでの復讐を誓うあたりは燃える展開です
中盤社長をGTに乗せてショックを与え、条件を取り付けるシーンではかなり前のめりになりました
面白いと、思います