《改行表示》10.《ネタバレ》 この作品、人物描写が薄いですね。個性に乏しいというか。普通ならマイナスの要因になるのですが、あえてそうした描写になっているのではと思います。三角山に行って生き残り、ビルマに残る決心をすることになるのは、もしかしたら水島ではなかったかもしれない。あるいはこの映画を見たあなたや私に降りかかったかもしれない。そうした「誰にでも起こるかもしれない」普遍性を感じさせるには、人物の個性は薄い方がいいでしょう。ここがこの映画のもっとも成功したところではないかと思います。 さらに注目したのは、最後に水島の決意を否定するかのような感慨が付け加えられていること。あそこまで来てあれはありなのかとも思われますが、本作では日本に帰った隊の人々、ビルマに残った水島、いずれが正しく正解だったのかという結論を出していません。というか、どちらが正しいかなどということは言えないでしょう。この映画を見ると得てして水島の行為を肯定してしまいますが、映画は必ずしもそうではないというのは面白い。 何にせよ、「生き残った者はどうするべきなのか」という問いは、今日でも自然災害などにおいて生きていると思います。そういう意味では現代にも通ずるところがあり、より普遍性を高めています。そのあたりが、現代におけるこの映画の存在価値ではないかと思いました。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-09-23 20:53:32) |
9.実話だと思って観ていましたが、リアリティの乏しさにフィクションと知り納得。独善的な描き方に違和感が残りますが、割と穏やかな流れの中にも負け戦の悲惨さは伝わってきます。若き三国連太郎が佐藤浩一にそっくりですが息子の方が似ているんですね。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-08-14 12:44:19) |
8.水島上等兵の決意の基となる屍の山に対して牧歌的に過ぎる収容所。悲惨さが胸に迫って来ませんでした。若き三國連太郎の瑞々しさに惚れ惚れしました。 |
7.リアリズムで観ちゃいけない映画でしょう。「埴生の宿」が国を越えた合唱となるシーンは大変感動的なんだけど、反戦メッセージよりも、寓話としての純度の高さでグッと来るんだ。ハープの音色ってのが、よく夢に入るシーンでポロロロロンと使われるように、そもそも現実離れしているし、インコなどの小道具も童話的雰囲気をかもしている。そもそもビルマの風土ってのが、片足を涅槃に突っ込んでいるようなところ。だからこの映画の感動は、祈りの発生に立ち会っている宗教的なものなのだろう。立て籠もってた部隊を説得できずに、しかし自分は生き残ってしまったという疚しさが、祈りに、宗教にと傾いていく。しかしあくまで日本兵のためだけの祈りであるところが、当時の、あるいは原作者の限界なのか。水島を追いかける日本兵がビルマの人たちの祈りの場を踏み荒らすところは、だから鋭い。逃亡のための衣装が次第に体にしみ込んでいってしまったという、なんか鬼面伝説みたいなところもあり、やっぱり寓話だな。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-09-08 09:40:33) |
《改行表示》6.《ネタバレ》 劇中の歌声と竪琴の音色が耳に残ります。 助けてくれた僧の服を盗んだときはおいおいおいと思いましたが。 【eureka】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-08-09 21:00:13) |
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5.戦争映画なのにミュージカルかと勘違いするぐらい歌のシーンが多いという非常に珍しい作品。ただ、なぜ水島が部隊にも戻らず、戦死した同胞の為にビルマに残る決意をしたのかが曖昧で、そのせいか終盤の合唱や手紙の朗読がやや陳腐に思えてしまうのがちょっと残念です。 【とかげ12号】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-06-22 14:04:47) |
《改行表示》4.市川崑監督の代表作に恥じない高いレベルの作品でした。 桟橋において、あの距離でかつての同志とすれ違ったなら、さすがに気付くでしょうに、ってツッコミは置いておいて、2時間たっぷり楽しめました。 【にじばぶ】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-04-14 00:18:42) |
《改行表示》3.白黒の画像によけい生々しさを感じました。原作の価値を損ねていない映像化だと思います。 残念だったのは、おばあさん役が日本人であったこと。演技と言うよりは、しゃべる役だから日本語が出来るビルマ人に出てもらった方が良かったと思います。あと音声が聞き取りにくい部分が多々ありました(琴の音はきれいでしたが...)。 【くろゆり】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-03-10 23:10:58) |
《改行表示》2.《ネタバレ》 戦争がいかに虚しいものであるかが、美しい竪琴の音色や歌声と共に伝わってくるような映画でした。 ビルマの風景がとても印象的でした。ただ、白黒なんですよね・・・・。「ビルマの赤い土をどうしてもカラースクリーンに描きたかった」と30年近く後にリメイク作品を撮った市川監督の気持ちが良くわかります。 北林谷栄が、この切ない物語の中で一服の清涼剤の役割を果たしています。 【TM】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-02-24 22:25:20) |
《改行表示》1.皆さんが言われてるようにリメイクのカラー版よりいいのは役者だと思います。戦争を直接体験している俳優さんたちですからまず顔つきが違います。手直しされた部分で言えばリメイクのほうが良くなってるところもあると思います。最も感動的な水島が無言で戦友に別れを告げに来て竪琴を弾く場面はこちらのほうがぐっときました。 こういうジャンルには弱くて大抵ボロ泣きするんですがこれが意外に泣けない。 どうしてかと考えたら話自体にちょっと作り物臭さを感じてしまうから、かと、、現実にビルマのジャングルで悲惨な最期を遂げた大勢の兵士たちを思えば、合唱する部隊が元気に生き延びている、また船上のナレーションの兵士の「水島の家族はこれを聞いてどう思うだろうか?」というのには同感で、野ざらしの戦死者を見捨てられずに、、というのもあまりにも美談仕立てに見えてしまう。いっそ↓のオオカミさんの言われてるように「童話」として見れば良かったのかもしれません。 【キリコ】さん 7点(2004-05-31 18:53:20) |