4.《ネタバレ》 つい『ドクトル・ジバゴ』と比べてしまいたくなるわけで、メロドラマとしての語り口のうまさという点では、あちらの勝ち。ジャック・ニコルソンが中途半端で可哀想なのに比べて、あちらのロッド・スタイガーは有効に使われてた。政治的主張という点では、あちらは反共に重点が置かれていたけど、本作は当時のアメリカがどうだったのか、という視点で描かれていたみたい。共産主義者ではあってもアメリカの理想主義の体現者という捉え方、あくまでもアメリカ精神の基本に忠実なの。オバサン革命家が理想と現実の乖離に目を向けたのと違い、ジョン・リードは現実を理想に引き戻そうと頑張った。共産党の官僚主義に対して抵抗を(そう強い語調のものではないんだけれど)試み続け死んでいってしまうわけ。戦いのシーンで「見る者」だった彼から「走る者」に変わるところが象徴なんでしょうなあ。理想の側に加担し続けようとするってところが、共産主義者を描いてもアメリカ精神なんです。インターナショナルが流れても、ちゃんとハリウッド映画。カメラが美しく『1900年』と同じ、赤旗を叙情的に撮れるV・ストラーロ。