11.ビデオテープで観た。
時代遅れのビデオテープで、昔の名作を。
それはいいとして、まずこの作品は、キャストが物凄い。
どんだけ凄いかというと、もはや序列を作れないので、エンドロールのキャスト表示が、「登場順」に
なっている。
序列することさえできなかった豪華キャスト。
そんだけ凄い。
そんだけ凄いキャストの中でも、一際印象に残ったのは、三船敏郎。
あの独特の野太い声、陸軍大将としての責任感と威厳、お堅いと見せかけながら、実は事実を受け止める
こともできる人間としての器のでかさ。
それらを見事、演じ切っていた。
あと印象的だったのは、上層部は色々な情報を持っていて、様々な難しい判断を下していくが、末端の
兵士たちは、情弱な面があるにせよ、結局、日本全体のことを正しく理解できておらず、行動がめちゃくちゃ
なところ。
これって、現代企業にも共通点があるんじゃないかと。
素朴な疑問としては、史実にどれだけ基づいているかという点。
歴史、それも戦時中の裏の歴史に精通していないと、これはどうにもジャッジができない。
この作品で描かれていることが、仮に史実にほぼ忠実だったとして、終戦間際にこれだけの難題を、ある意味、的確に
クリアしていきながら敗戦に至ったならば、何故そもそも、戦争というような愚かなことをしなければならなかったのか。
それとも、一部の戦後右派が主張するように、世界から日本を守る為に、否応なく応じなければならなかった太平洋戦争
だったのだからか?
その辺りの真実、いや真実なんていっても、それほど単純な話ではないだろうけど、これを機に太平洋戦争について、
色々知りたいという欲求も湧いてくる。
そういった意味では、戦争の不毛さをアピールしていく上で、本作は貴重な機会を与えてくれる、歴史的意義の高い作品
なのではないだろうか。