《改行表示》18.《ネタバレ》 四世代家族12人が家財道具すべてを載せて1台のボロトラックでオクラホマからカリフォルニアへ横断するなんて、そんな無謀なことが本当に出来たのかと驚いてしまいます。米国の最貧困層の実態を暴いた映画は、日本の「万引き家族」や韓国の「パラサイト」にも劣らぬほどの社会の恥部を曝け出したといえるし、西部劇の名手であるジョン・フォードが、あえて南部の白人社会の負の側面に目を向けたことも重要だと思う。 いわゆる「ダストボウル難民」という呼称は比喩ではなく、本当に難民キャンプで人権の剥奪された生活を強いられたのですね。今でもそうかもしれませんが、黒人やヒスパニックやアジア系に対する差別もさることながら、白人どうしの間にも激烈な格差や差別があったということ。なぜドナルド・トランプが米国南部で支持されるのかを考えたら、これはけっして過去の問題ではないと思います。 殺人罪の服役から仮出所してきた男を出迎えた家族が「さすがだ!脱獄してきたんだろ?」と口々に称えるさまをユーモラスに描いてますが、これはいかにも独立心の強い南部人の価値観や気質を表してるのかもしれません。蓮實重彦は、ショットの分析をとおして「フォードは男性主義者ではない」という主旨のことを言ってますが、そもそも(ボブ・ディランなどにも言えることだけど)南部の立場から表現することには、つねに政治的な両義性がともなうのだと思う。南部の白人たちが、女性や黒人などの「弱者」に対して加害的になるのは、ほかならぬ彼ら自身が経済的に虐げられる立場だからでもあろうし、それはすなわち南北分断という米国社会全体の構造的な問題なのですよね。したがって、切り取られた部分だけを見て「南部の白人が加害者か被害者か」を論じるのは不十分なのだといえる。 とはいえ、やはりジョン・フォードのひとつひとつのショットが明確な意志で切り取られてることには感嘆してしまうし、ショットの的確さこそが映画の美しさになるのだと思い知らされます。なお、説教師のケーシーが登場する場面はどれも神秘的で、とくに序盤の出会いのシーンは、なんとなくロッセリーニの「フランチェスコ」を想起させました。 【まいか】さん [インターネット(字幕)] 7点(2024-04-09 02:05:33) |
17.主人公も、その家族も幸せに生きるには何重にも問題を抱えていて、閉塞感が半端ではありません。特に愛する息子と再び離れ離れになってしまう母親の悲しみが強く印象に残りました。 【次郎丸三郎】さん [DVD(字幕)] 7点(2021-01-18 13:26:53) |
16.《ネタバレ》 ○アメリカ先進化の陽の部分に隠れた陰のドラマ。非常に勉強になった。○70年以上たった現代は、色んな所から情報が手に入れられるが、知っている人は知っている、知らない人は知らない、リテラシーは発達したのか考えさせられる。○ドラマにおいては陰の印象が強い割にあっさりかな。 【TOSHI】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-01-05 21:46:12) |
15.アメリカ映画っぽくないほど暗い。ラストはなんだかあっさり。 【eureka】さん [DVD(字幕)] 7点(2011-06-09 17:54:18) |
《改行表示》14.《ネタバレ》 見ていて凄く辛かった。家族は時代の波に押されてどんどん追い詰められていきます。しかし辛い出来事の連続の中で助け、助けられというシーンがあって、この映画で言う「民衆」の大きさを感じます。パンを買うシーンは端的にそれを表わしていて印象深いです。 資本主義に疑問を呈すというテーマは現代にも通じますし見ごたえがありました。 【さわき】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-03-28 01:19:10) |
13.この時代に生きる民衆の苦しみ、やるせなさがよく伝わってきます。 【akila】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-02-21 17:37:43) |
《改行表示》12. とても胸が締め付けられる映画でした。 特に主人公の母親が良かった。 基本、音楽が明るい曲調のものだったので、鑑賞中も結構くつろいで観れたかな。 話の落ちどころが読めてしまってちょっと残念だった気がしないでも無い。 【タックスマン4】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-12-15 01:50:20) |
【ホットチョコレート】さん [地上波(字幕)] 7点(2010-12-06 19:43:41) |
《改行表示》10.《ネタバレ》 とにかく切ない。 そんな旅の道中で、わずかながら人の情に触れるシーンがホッとさせられました。本当にわずかですけど。 一応、かすかな希望の余韻を残して終わったのが救い。 暗がりのシーンが多く、その影の中で一際光る登場人物の眼光が良かったです。 主演のヘンリー・フォンダを楽しみにしていましたが、思ったより目立つ役柄ではなかったのがちょっと残念。 【午の若丸】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-10-30 09:47:18) |
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9.時代背景は違えど現代社会にも通ずる(万人に当てはまるわけではないが)人間の苦悩。重苦しい流れでストーリーは進んで行く、ラストの母親との会話シーンにかすかな希望を見出し、ジンワリと尾を引くかのよう余韻を味わえる。 【円軌道の幅】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-04-19 23:06:20) |
8.ジョンフォード作品初見でしたが、確かに映像美を感じたし力強さもよかった。ラストが制作側の意向なのかちょっと力強さを感じなかった。当時のアメリカの苦しい生活が心を痛める。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-02-25 12:49:28) |
7.《ネタバレ》 ラストの決意がちょっと抽象的に跳びすぎていたように思うんだけど、でもパン買うシーンが(実に具体的で)大好きなので、忘れられない映画です。主人公の一家が旅の途中15セントのパンを10セント分だけ売ってくれって言うと、いいよ全部持っていきな、と店主が言う。老人は乞食じゃないんだと反撥するわけ。そこで店主は古いパンだからと「譲歩」するの。と子どもが飴ほしそうにしていて、これ1本1セントかね、って聞くと、パン売るときはしぶしぶそうだった女店員が、2本1セントです、って答えるの。一家が去ったあと別の客が、1本5セントじゃねえかよ、と笑って、釣りはいらねえぜ、と勘定をすませる。店員が金額を見て、まああの人ったら、というように微笑む。人情ドラマの一景として完璧でしょ。山田洋次が『家族』で笠智衆に似たようなエピソードやらせたのは、これへのオマージュなんじゃないかと思ってる。アメリカ映画って、けっこうウエットなところあるんだよね。ペキンパーなんかにも感じるし。そこらへん太平洋をはさんで日本と共通する感性があるみたい。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-01-05 12:06:18) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 過酷な行程を経て到着した先での過酷な暮らし。支配する者とされる者の現実にぐったりさせられます。そんな中にあっても、キャンディを売った店員、釣りを受け取らなかった運転手、国営のキャンプ場の責任者に人情や誠実さは存在することが意義深く、一家の働こうとする意志に励まされる思いです。それ故に、仮出所中の身で殺人を犯したトムは罪を償うまでは、その決意もご都合主義に感じてしまいました。また、補助、援助、保護、投資を過剰に「施す」事よりも、正直に働く価値を子供に教え、働く場を「整える」事が政治の役目で、過剰に国に甘えずに働いて納税をする事が庶民の役目だと感じさせられました。 |
《改行表示》5.《ネタバレ》 題も聖書からとったということで全体的に聖書からの雰囲気が感じ取れる作品に仕上がっている。カリフォルニアに着いたときの父(だったと思われるが)の台詞、そしてラストの母に捧げるトム(H・フォンダ)の台詞と聖書をどうしても意識せずにはいられない。やや重いテイストを出してしまってるかもしれないが、当時の情勢、そしてメッセージには重みが加わり重厚で味わい深い作品に仕上がったと思う。ジョン・キャラダインがキリストに見えるという意見も見当違いではないだろう。それにしても彼の存在感は抜群だった。 本作はニューディール政策という希望を描いた作品であり、政策の結果だけ見ると、その描き方にはやや手放しで賛成できるものになってはいないが、たくさんの飢えた者がいる中で大量の果実や穀物が収穫されずに腐っていくという物語の趣旨は現代でも十分に通じ、考えさせられるものとなっており、不朽の名作と言えるであろう。 さてラストシーンは製作担当副社長のダリル・F・ザナックの手によるものだが、ザナックとフォードは仲が悪い事で有名である。だが皮肉な事に彼らが組んだ作品は非常にヒットが多い。本作も例外ではないだろう。ジェーン・ダーウェルのあの台詞があることによって勇気と感動が生まれ普遍の名作になったと思うからだ。 ヘンリー・フォンダは熱演ではあるし文句はないが、ピッタリの配役とは言い難い。また彼の才能を考えるとスタジオに縛られるという契約を結んでまでこの作品に出るべきではなかったかもしれない。 【きいろのくじら】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-12-28 19:48:13) |
4.むかしデート映画として見ました。これ、娯楽作品ではありません。うう、貧乏っていやです。一生懸命働いて、慎ましく、幸せな家庭を築きたいと思いました。 【ジャッカルの目】さん [映画館(字幕)] 7点(2007-03-10 08:51:13) |
3.この映画の持つメッセージ性は評価しつつも、最近の映画を見慣れた私には、全編にわたる重苦しさがたまらなくつらかったです。何か救いが欲しかった。 【チョコレクター】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-07-02 17:08:39) |
2.夜のシーンが真っ暗です(笑)。この徹底的なリアルな描写が貧しさからくる悲壮感をより一層悲観的に映し出す。その中で途中に寄った店で子供に菓子を買ってやるときの店員の応対がひとときのの清涼水のごとく心を和ませる。こういう一種の救いの描写を入れて怒り一辺倒にしないところがなんともフォードらしい。 アメリカ資本主義がもたらす弊害をもろに受けた人々の悲劇でありますが、家族愛と改革精神にあふれるエンディングがこれぞ”アメリカ映画”と思わせてくれる。もちろん良い意味で。 【R&A】さん 7点(2004-12-20 11:27:24) (良:1票) |
1.ここを先に見てしまい、期待が大きすぎたのかもしれないけれど、それほどよかったとは思わなかった。1セントの価値も今とは当然違ってその感覚を最後までつかみきれなかったし。(桃をバケツいっぱい拾って5セントの給料っていわれても…) 【HK】さん 7点(2004-12-16 10:41:19) |