3.《ネタバレ》 中年男のノスタルジープラスセンチメンタル妄想炸裂映画決定版!!出てくる少女たちの造形が、いかにも年かさの男性が頭で考えたような「聖少女像」って感じ。1974年という時代背景を差し引いても、その点はちょっと割引しなくてはいけません。けど、自分は昔っから大林監督が描くこういうセンチメンタリズム、嫌いじゃないんだよなあ・・・むしろ大好き(汗)同じ伊勢正三の曲をモチーフにした、ホラー調?の「22才の別れ」(4点)より、ずっとこっちの方が内容的にも見ごたえがあり、大林監督の演出や映像感覚も冴えていると思います。主人公よりも親友の方が、ずっと人間としても男としてもいいヤツなんですよね。何度か出てくる臼杵駅プラットホームのシーン、出迎えてくれる親友にいっつも当たり前のように荷物を運ばせるんですよ。この主人公って。たいして重くもなさそうな荷物なのに。普通ならわざわざ迎えに来てくれた友人に「いいよ、いいよこれ軽いしオレ持つから」って断るのが筋だと思うんだけど・・・。ここに主人公の独善的な部分というか、自分の事しか考えてないエゴイストな部分が一番巧く出せていたと思います。中年男が頭でこしらえたようなヒロイン像(歳を重ねた老いた姿を画面にみせない)、主人公にイマイチ人間的魅力に欠ける点、往年の大女優津島恵子さんをせっかく出演させているのに画面に出しているだけで殆ど見せ場を与えていない(「時かけ」では上原謙&入江たか子のご両人にちゃんと芝居をさせていた)以上、気になる三点を引いて7点。