10.《ネタバレ》 冷戦に勝利するという「大義名分」のあるところ命は軽い、にも拘らず人を一人殺すことがどんなに大変なことかを、なまなましく見せる。これを見れば、趣味のように「軽やかに」人を殺す『ナイト&デイ』みたいな映画は、やはり百害あって・・・とあらためて思う。ヒッチコックという人の政治的な機能をどうこう言うのは野暮な感じだ。彼は堂々と安全なポジションを取り続けた。対ナチスドイツの戦争の文脈でアメリカ入りした英国人としてまず『海外特派員』(反ナチ映画)を撮り、やがて『汚名』を撮ったときにはすでに反ナチ(自由の星としてのFBIの描き方はヒッチコック自身の「汚名」かもしれない)が時代遅れであったし、今度は共産圏に対抗する映画へと移行することになる。東ドイツの警察がちょっとナチのようなテイストで描かれている。要するに彼はベタなまでに開き直って安全地帯で(赤狩りの危険だってあったわけだから)娯楽映画作りに専念したということか。 【ひと3】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-11-05 11:31:05) |
9.全盛期を過ぎたヒッチコックの駄作駄作と決めつけられながらも、何故か時たま観たくなる衝動に駆られてしまう、ヘンな魅力があるスパイ映画。あまりに場違いでミスキャストなヒロイン、ジュリー・アンドリュース(←ヒッチコックは「北北西」のエヴァ・マリー・セイントを希望していた由)と、60年代主演作に外れなしと勝手に自分が思い込んでる好漢ポール・ニューマンのオタオタぶりが微笑ましいからかも。つい最近秀作「善き人のためのソナタ」で冷戦下ドイツの風景を観ながら、またこの作品を見直したくなりました。クライマックス、劇場で「ファイヤー!」と叫ぶニューマン、アメリカ人の身元保証人を必死で探す伯爵夫人(リラ・ケドロヴァ)の、ラストカットの切ない表情が脳裏にこびりついてます。 【放浪紳士チャーリー】さん [地上波(吹替)] 7点(2007-09-17 10:56:45) |
8.農家での殺害シーン、目付け役がポール・ニューマンの腹を小突く短いショットが緊迫を煽り、水入りの鍋が投げつけられる、視覚的・聴覚的衝撃によって沸点を越え、展開を変化させる。そして人間臭を過剰に嗅がせる死への道程。ヒッチコックが恐怖や動悸を与える際の特徴的な演出、ややローアングル、クロースアップぎみの縦の動き(ナイフを持った女)と肉体的痛みを感じさせる短いショット(足へのシャベルでの打撃)が編集(モンタージュ)によって一体となり、また鎖骨あたりに刺さったナイフが折れるといった独特のリアリズムが絡むことによって“たかが”殺害シーンをこれ異常ない密度に引き上げている。 ヒッチコックの真髄とは正にこれである。“たかが○○シーン”に工夫を惜しまない姿勢がすべてのショットに浸透し、すべてのショットが関係性や状況の緊迫を示唆している“かのような”絶え間ない緊密さに支配されている。それは時にはホテルのエレベーターから移動の俯瞰ショットで捉えたような(エレベーターから出てくるニューマンと床掃除の従業員、最後に目付け役がクロースアップで映り込むショット)単なる視覚的エモーションに過ぎなかったりもするのだが、言語性との緊密性よりもこういった絶えず繰り出されるエモーションの緊密性こそが、ヒッチコックが自ら課した責務なのだろう。 無論この映画の脚本は凡庸で平板的なものであり、「家事だー」と英語で叫び大わらわとなる寒々しさや、また査問会の部屋からジュリーが飛び出すような単なる感情の露見化に過ぎない退屈なシーンも見受けられるのだが、単なる失敗作ではなく、健在振りを発揮した作品であったことだけは再確認しておこう。 【stroheim】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2006-12-29 02:36:33) |
7.ヒッチコック監督の独特のサスペンス感が全編に溢れていて、決して悪い作品ではないのですが、イマイチ印象が薄いのは何故でしょう。大スター2人の共演なのに、ちょっと不思議です。 というのが、やはりちょっとミスキャストな感じがします。ポール・ニューマンがあやしげなスパイになるはずないしと思ってしまい、先が読めてしまうような感じ。ジュリー・アンドリュースの役どころも別に彼女である必要はあまりないし。・・・ ところどころ、博物館、農家、バスのシーンなどヒッチコック独特の素晴らしいサスペンス場面が見られるのがこの映画の収穫です。 【JEWEL】さん 7点(2005-02-26 13:29:41) |
6.ヒッチコック監督50作品目だっけ? ”ヒッチは金髪がお好き”ってことで、男女ともブロンドでブルーアイのふたりに主役が決まったのでしょうか?(笑) ま、冗談はさておき、駄作の誉れ高い本作ですが、そこそこ楽しめるのではないでしょうか。冷戦下の状況を具体的にイメージできない人には緊張感が伝わらないかもしれませんが、当時の東西対立をおぼえている人には、ある程度の緊迫感が伝わると思います。このタイトルのカーテンというのは、当時東西ドイツを分離していた「鉄のカーテン」というチャーチルの演説から来たものでしょうね。そういう時代背景を考えた上で、本作を楽しまないと、単なる”ちょっと物足りないサスペンス”という印象になってしまうでしょう。音楽のジョン・アディソンは「遠すぎた橋」のスコアで有名ですが、本作でもそこそこ頑張っていたのではないでしょうか。とくに有名なバスのシーンでの音楽は、もたつくことのもどかしさとか、追いかけられる緊迫感が伝わって、名場面だとは思います。 【オオカミ】さん 7点(2004-03-20 13:52:10) |
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5.《ネタバレ》 「たまやー」「かぎやー」「なりこまやー」など、「やー」で終わるコトバを群集の中で勇気を出して大声で叫ぶのが快感であることを子供のころに覚えた。とても気持ちがいい体験だった。だが、この映画のマネだけは、やったことがない。本当にあんな絵に描いたようなパニックが起こるのかどうか、実験してみたい衝動に今でも駆られるが勇気が出ないでいる。いや、勇気なんか出さなくていい。それが大人というものだ。 |
4.ジュリー・アンドリュース&逃亡劇 で サウンドオブミュージックみたいと思ったのは私だけだろうなあ。でも演奏会の最中で逃げるし。似てないですかね? |
3.調子の悪いライター・漂う暴力の香り、グロメクに恐怖を感じました。ラストの衣装カゴ、あんなにハラハラするシーンは他にない。昔は良かった って感じですね。 【ヒロシ】さん 7点(2003-04-27 21:46:47) |
【あろえりーな】さん 7点(2003-02-17 20:30:46) |
1.ニューマンとヒッチコック?珍しい組合せだと思い期待したが・・・当時はどうか知らないが、スパイもの、脱出ものとして不可欠なスリルが全く無いように感じた。この手の作品にヒッチコックは向いてないのでは? 【イマジン】さん 7点(2001-02-03 11:22:23) |