13.《ネタバレ》 スゲエタイトルだ。どの層の人たちをターゲットに想定しているのか全く分からん。まあアラフォーの童貞男たち(それもマゾ)なんだろうが…。
光に群がる蛾のように、画面の前に集まってきた童貞男たちを嘲笑い、踏み潰すかのごとく物語は無残な展開を見せる。要約するとこんなかんじだ。「同僚たちに中年童貞をイジられてつらいので、ちょっと本気出した。結果、2時間ちょっとの上映時間内で卒業に成功!フィギュア収集のオタ趣味も卒業、嫁ももらって仕事でも出世して、5000万円近い貯金もできて、身長も3cm伸びました!」ドヤ顔で歌い踊るアンディとその後に流れるエンドロールを見つめながら、画面の前の俺ら…もとい、君らは同じ感想を持ったはずだ。「お前のような童貞がいるか」と。
「電車男」もそうだったが、このテのもてない男を主役に据えたフィクションは大体同じ間違いを犯している。①主演俳優のビジュアルが平均を超えた美形。「ノートルダムの鐘」を見習え。②やろうと思えば女性とコミュニケーションが普通にとれる。本屋で変態女性を口説いてるアンディはまるでラブコメに主演している映画俳優のようだった。③主人公の内面が美しすぎる。40過ぎてこの人間性って…妖精かな?
現実の、40歳まで童貞守り通した人間なんて、誰もが話しかけること、いや近づくことすらためらう孤高のオーラと、深く知れば知るほど嫌いになる人間性の二つを兼ね備えているのが普通のはず。アンディはいい奴すぎる。「あぁ、そりゃ同僚たちも応援してくれるし、義理の娘たちも慕ってくれるよね…」と思ってしまい、共感を持って眺めていた主人公がいつの間にか独り歩きを始め、中盤以降は完全に他人事にしか見えなくなる。まあリアルに作ったら何の物語も展開しないからね。でも「あぁ、やっぱりそうだよね。40過ぎの童貞男が一念発起してもこうなるのがオチだよね。HAHAHAHAHAよし首吊ろう」そんな映画がたまにはあってもいいんじゃないかな。気が滅入ってるときは絶対観たくないけど。
ボロクソ書いたけど笑えるシーンはいっぱいあったのでこの点数。汚い言葉のオンパレードだったけど、それと同じくらい洒落た言い回しも多くて感心したよ。「この部屋を女性の目で見てみろ。どう思う?セクシーとは思われないぞ。」とか、「私は14歳のときに今のプロポーションに成長したの。考えられる?」「考えたくないですね」とか。この辺は日本語での会話だったらもっと汚いセリフになってたんじゃないか。
それと、映画の内容とは全然関係ないけど、巷で言われている「30歳まで童貞貫いたら魔法が使えるようになる」という噂についてだけど、ここでいう「魔法」とは自分の周囲3mに他人を立ち入らせない、話しかけることも許さない結界を張る魔法(自動かつ解除不能)の意味であって、「イクスペクトー!パチョローナーム!!」みたいなのを想像してる人には目を覚ませと言いたい。