2.パトリックの不幸な生い立ちもそうだし、その後の展開もニール・ジョーダンの他の作品でも見られるアイルランドの現代史を絡めたりもしている。しかし本作は悲観的ではなく、重さも感じさせない。
パトリックの淡々とした前向きな生きざまと、彼が出会う人々とのコミカルな描写、小鳥たちの会話のファンタジー的要素が作品にいい明るさをもたらせています。オープニング、そしてラストにも使われる“シュガー・ベイビー・ラブ”の爽やかなメロディも実に効果的に作用しています。
「ティファニーで朝食を」を連想させるタイトルに、終盤のマジックミラー越しの会話はヴェンダースの「パリ、テキサス」を思わせる。他にも「南太平洋」とミッツィ・ゲイナーなど、ニール・ジョーダンの様々な映画へのオマージュも感じられる作品です。