1.《ネタバレ》 現代版「羅生門」(藪の中)とも言われているらしく、さすがの面白さ、完成度だった。梅原千代の死をめぐる裁判で、証人たちは自己弁護に走り、他人はいくらでも悪く言う。だからいくつものストーリーが出来上がってしまう。もちろん神阪四郎だってそうなのだろうし、梅原千代の日記だって似たようなものだろう。法廷劇ではあるが検事や弁護士の存在感が薄いことから見ても、裁判どうこうではなく、そういった人間の性質を浮かび上がらせたドラマだ。「人間は常に真実を求め、真実を知りたがる。しかし人間は未だ嘗て真実を掴んだことは無かった」。なるほどねぇ。俳優陣も皆好演。今さらこんな事言うのもおかしな話だけど、やっぱり森繁久彌って上手いんだな~。左幸子も熱演していて良かった。