4.《ネタバレ》 ロリコンだとか美少女などという物差しで映画を量る限りではこの作品の美しさは見えてこない。
はっきり言って、この映画がそういった見方で愚弄されるのにはいい加減うんざりである。
フェミニストのように、「性的にばかり見ないで」という切実な言い方を取りたくなる。
公平に言って、この映画から観客がどのような主張を嗅ぎ出そうが、この作品自体には性的な意味での主張はない。
どのような不気味さもなければ、意味深さもなく、讃美もなければ非難もない。
この映画のタイトル(原題)がINNOCENCEであることを一度省みてほしい。
「とある場の存在」自体のイノセンスが、それを解釈するものによって汚される構図を見ることが確かに可能であるという点で、私はこの映画を高く評価する。
あのラストシーンを、何かへの讃美でもなければ非難でもない、ただ「それ自体」のシーンとしてもう一度観直してみてもらいたい。もしそう捉えることが可能ならば、そこに現れる「失われていくもの」への想いがあくまで純粋な形で訪れるだろう。
そして、この映画全体が、そのように見直されるべきだと切に思っている。
そこには窓辺に置かれたガラス製水差しのような純真さがあった。