15.小学校5年生くらいだったか、私が弟達を連れて、加古川の映画館へ子供だけで行ったことがある。
正確に言うと、行きは母に車で送ってもらって、帰りは自分達で電車で帰ってきなさい、というもの。
観に行った映画は「ドラえもん のび太の宇宙小戦争」。
私達が映画館に着いたとき、その映画はもう始まって15分くらい経っていて、途中から観ることになった。
その後のストーリーを理解するのに支障のあるレベルではないが、なんとなくそういうの、気になってしまう。
それで、映画が終わってからも、私達は座りつづけて、次の回で見逃した冒頭のシーンを観ることにした。
そうしたら、下の弟がぐずりだした。
「もう観た!観た!帰る!帰る!」
私より3つ下の末っ子は相当わがままで、私がいくらたしなめても言うことを聞かない。
そのうち一人で席を立って、下の弟は出口へ向かってしまった。
上の弟は無関心なようで、放っておいたらいいと平気で映画を見続けている。
そうは言っても、末っ子はまだ小学校2年生かそこらだったので、私は無理に上の弟の手を引いて、下の弟の後を追うはめになった。
おかげで映画については、ほんの少しだけ観ていないシーンがあるというむずがゆい結果となり、上の弟には「お姉ちゃんのせいで最初の方が観れなかった」と責められ、私も下の弟の身勝手さに腹が立ち、さんざんな思いで、帰りの電車に乗った。
私達がよく「ドラえもん」や「東映まんがまつり」を観た加古川の映画館は今はもうない。
でも、うちの弟二人の性格は、今でも、わがままと無関心なまま変わっていない。
そして、私達兄弟が、最近でも思い出しては話題にするドラえもん映画と言えば、何をさておき、この「宇宙小戦争」だ。