1.大河内傳次郎、まさかの28歳。28歳であの貫禄。
…ていうか、この人は活劇もやれるけど人情話も得意なオールマイティーだったんだなあ、って再認識しました。
『丹下左膳 百萬両の壺』でああいう演技に振ったのは、監督の意向もあるにせよ、役者としての素質がモノを言ったんだなあ、と理解。
杖ついて半身が動かない状態でヨロヨロと山道を行く忠治の姿なんかもう、剣劇以上に心に残る名場面でした。
『御用編』の後半ではほぼ寝たままの演技で、表情だけで人生語っちゃうしもう。
こういう、西部劇とは一線を画す作品が作れちゃうのも時代劇の懐のあるとこだね、って思ったなあ。
同じプログラムでもっと前の作品『長恨』もかかりました。
忠治旅日記が滅びの静なら、こっちは滅びの動。1巻まるまる大立ち回りオンリーの捕り物で終始するってのが凄まじくかっこよかったです。
これ、(消失した忠治本編もそうですが)本作と鏡合わせになって見事な作品だったなあという感想でした。