35.《ネタバレ》 古臭くて疲弊した世界ってのは日本のプロ野球界にも通じるところがあって、今、世間を騒がせている読売ジャイアンツの内紛なんかも当事者以外から見れば野球の娯楽から遠く離れた、とてもみっともない事だったりして、でも、この映画は実のところ、データに基づいた理論的な野球こそが時代に相応しいのである、って言ってるのではないんですよね。野球の本質的な魅力、楽しさって一体何処にあるんだろ?って考えた時に、ブラピ演じるGMの勝利のための徹底した理論的合理的割り切りこそにあるという訳ではないというのは、あの大切な試合で放たれたホームランで判ります。本来彼に与えられた使命は四球で塁に出る事であって、あの一発は理論の中に組み込まれていた訳ではなく、そしてあそここそが長嶋終身名誉監督言うところの「メイクドラマ」であったりするワケです。その言動こそ尖っていて過激にも思えるGMの、実は輪の中に馴染めず、小心者で神経質という姿(ロングの画の中に一人だけというショットの多さは彼の孤独を物語り、ラジオやテレビの電源のオンオフを繰り返す姿は彼の心の弱さを物語り)を通して、本当の野球の愉しみに目覚めてゆく過程を見せてゆくのは、一見地味なドラマに見えつつエンターテイメントの王道という感じ。それゆえ、意外に判り易くて深みは足らないな、って思うのは贅沢ですか。GMというちょっとジミな立場から見た、だけど王道な野球映画という感じでした。でも、ちなみに私はアンチジャイアンツで西武ライオンズファンで、「あにやん」という名前は松沼(兄)から来ていて、だけどこの十数年、野球から全く興味が無くなった状態だったりして、今の日本プロ野球界には色々と幻滅状態。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-11-24 20:52:07) (良:2票) |
34.《ネタバレ》 こういう映画が彼の国で作られているという事実は、日本で言えばアンチ巨人に見られる、「判官びいき」の心情が万国共通であることを示すのだろう。貧乏球団が金満球団に互角の戦いを挑むというのは確かに痛快だ。埋めようの無い資金力の差を埋めるために、データ分析に長けたスタッフを側近に置き、その分析により出塁率の高い選手を安く獲得していく。なかなか結果が出ない状況は、GMという日本には近年になって導入されてきた未だ馴染みの薄い職の役割と苦悩を、現場との対立によって浮き彫りにする。ただ、スカウトと対立しながらも出塁率の高さから獲得したジアンビ弟たちを敢えて放出し、快進撃のきっかけとなるくだり、ここが良く分からなかった。必要な出塁率をほかの選手でカバーしたのかそれともただ癌を取り除いただけなのか。ここから歴史に残る連勝を始めるだけにもう少し丁寧な描写がほしかった。それにしても野球の好きな国だ。連勝記録のかかった試合で選球眼を買われて獲得したハッテバーグが、四球ではなく意外にもホームランで試合を決めるあたり、アメリカ人の野球に対する夢を現してるように思えた。人を熱くするのはやはりデータだけではないんだと。好み40/50、演出12/15、脚本9/15、演技7/10、技術6/10、合計74/100→7/10点 【chachabone】さん [映画館(字幕)] 7点(2011-11-17 22:22:04) (良:2票) |
33.《ネタバレ》 視点が面白い。野球をテーマにしてもあくまで裏方のお話。野球試合がメインではないため、物足りないと感じなくもないが、マネーボール理論で合理的に勝利を狙う展開を上手く魅せる。だから逆転ホームランのシーンで一番気分が高揚するわけで。ノウハウが他の球団で使われてしまうシビアさを字幕のみでサラッと見せ、終わりなき主人公の戦いを際出せていた。堅実な作りだけど、それ以上の収穫はなし。製作年から10年近く前の話なのに、パソコンのディスプレイに時代を感じるね。 【Cinecdocke】さん [映画館(吹替)] 7点(2015-02-15 18:11:05) (良:1票) |
32.《ネタバレ》 元プロ経験者が引退してからそのスポーツの監督やコーチになると経験や勘や情を重視するというイメージがあった。しかし、このビリー・ビーンという人はそことは真逆で選手の価値を数値化することで客観的な視点で選手を評価することをしている。最後には金より情でチームに残る事を選んだり、すぐに感情的になったり、ジンクスを信じていたりと客観的というには程遠い行動も取るというグレーな存在であるからこそここまで魅力的で求心力のある人物になったのではないかと思った。 【ちゃじじ】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-03-21 20:10:10) (良:1票) |
31.《ネタバレ》 監督とか選手ではなく、GM(ゼネラル・マネジャー)の視点で、球団を立て直していくストーリーは新鮮。ビリーが周囲の反対を押し切ってまでマネーボール理論にこだわり続けた背景として、時折織り込まれる彼自身のプロ入りの体験で刻まれた思いや、家族関係もしっかり描いていることは好感がもてた。また実話をベースにしていることもあるだろうが、単純なハッピーエンドにしなかったところも高評価。また、チームの転機になったのは、理論そのものではなく、最後はビリー自身が選手に直接コミットしはじめてからだった。この点はGMとして越権行為かとも思われるが、理論を元にチーム編成しただけではチーム強化は完成せず、最後ははやり「思い」をもった人間が一人一人の選手に働きかけていくことが大切、という点は野球のみならず、あらゆる組織に通じることだと思われ、プロ球団の内実も興味深く織りまぜながら、組織変革のドラマを描く佳作に仕上がっている。 【田吾作】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-11-26 13:41:32) (良:1票) |
30.《ネタバレ》 実際にあった話なので万年最下位のチームがワールドチャンピオンに!などというような派手なお話では全くなかったですね。前年もプレイオフに出場したチームが主力が抜けた穴を新しい野球理論でどう埋めたかという非常に地味なお話で結末もまた地味です。20連勝という奇跡的な展開が無かったら映画にするのは厳しかったかもですね。それでもこの地味な話を上手く演出して盛り上げていてそれなりに面白かったです。ブラピとおデブちゃんのコンビも良い味出していて良かったですね。イチローが一瞬出てくるのもうれしい。 【映画大好きっ子】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-10-29 02:12:54) (良:1票) |
29.《ネタバレ》 自分が応援しているチームを、TV観戦していると、負けるジンクスは私にもある。昔その確率を統計で調べてみたら7割を超えていた。だから私は大切な試合では、DVD録画して、結果で勝ったと判明したときだけ再生してみる。ちなみに日本シリーズで中日が巨人にまさかの3連敗を喫した理由は私のせいだ。我ながら厄病神だと思う。しかしビリービーンの厄病神ぶりもすごい?11点差を追いつかれたときは、呆れて笑ってしまったが、実話らしい。てゆうか、7点取られたあたりから、空気を察して、球場から去れよ。へんなところでビリーに共感してしまった。ところでアスレチック=松井を獲得したチーム。日本マスコミは好意を込めて、ケチケチ軍団と報道した。たしかにこの映画でアスレチックの吝嗇ぶりがよく分かる。松井:ヤンキース時代の打率・292。出塁率・370!松井の打率は、イチローより下だったが、出塁率はイチローより、はるかに上だった。イチローを買うのに数十億円、松井を買うのに3億程度、どっちを買うか?やはりビリーならば、松井を選ぶ。イチローよりも安くて、そのうえイチローよりも塁に出る回数が多いのだから必然だ。逆にビリーにとって一番嫌いな選手は、おそらくイチローのような選手だと思う。それは高額商品であるにもかかわらず、それがチームの勝利に結びつかないからだ。それはチーム事情という一言では片づけられない何かがあるのだと思う。また松井がワールドシリーズでMVPになったのも何か理由がある。その何かを見極める手法、選手個人の活躍ではなく、チームの勝利に貢献する選手の発掘こそが、マネーボール理論なのである!あーたいそうなことゆっちゃった、解説ぶっちゃってまあ。とにかく、私が言いたいことは、松井はまさにマネーボール理論の申し子だったとゆうことです。 【花守湖】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-10-27 13:03:06) (良:1票) |
28.《ネタバレ》 アスレチックスのGMビリー・ビーンは苦しい台所事情から危険な賭けに出た上、開幕直後の散々な成績でバッシングを受ける。選手起用を巡り監督と対立すると、今度はペーニャ放出などさらなる博打に出る。GMは見る角度によっては嫌なヤツにもなってしまう職業だが、成績が振るわなければ解任もありえる。選手や監督ほどではないかもしれないが、いずれにしても厳しい立場であることは間違いない。ビリーは追い込まれていた…。信念とは言っても、そもそもピーターが正しい保証はなく、凡人なら押し潰されていただろう。理論が正しくとも、強い意志を持っていなければ大きなことは成し遂げられない。野球に限らないパイオニアのスピリッツをビリーが教えてくる。それにしてもリーグ新記録の20連勝はフィクションなら「やりすぎ」とつっこんでた。これが実話とは… そりゃ映画になるわけだ。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-10-25 19:32:37) (良:1票) |
27.《ネタバレ》 とても淡々とした作りで、決して劇的に見せるわけではないのですが、「マネーボール理論」という、いわば科学で野球を理解しようとする話なので、淡々とした構成に仕上げてきたのもわかるような気がします。元々は経済を理解するための理論を野球に持ってきたんだそうで、いわば株価の動きとか、そういうのを予測する為に使われるそうな。でも、株価もそうですし、やっぱり野球だってそう。世の中、全てロジカルに動いてるわけではないので結局は外れてしまうオチになるわけですが、それでも20連勝という新記録を打ち立てたのは、ビリー・ビーンの「俺についてこい」みたいな自信満々キャラが功を奏したんじゃないかと思うんです。そして彼自身、元選手だったので、選手たちへの気配りとか配慮がそれなりに出来たのかもしれない。勿論、劇中の彼の行動は、一見すると「冷酷」な決断の連続にも思えます。選手をあっさりと切り捨てたり、すぐさまトレードしてみせたり。しかしまた逆に、ビリーは「見向きもされなかった選手」や「見捨てられた選手」を獲得することにも精を出しているわけです。野球界という、伝統的な価値観の支配する世界において、ビリーとピーターの存在はまさに異端児。このお話の大切なポイントは、その理論の正当性うんぬんよりも、やっぱり異端児が新しいことをやると必ず批判を受けるわけだけど、そこで貫き通していける勇気を持つっていうこと、その一点じゃないかと思う。周りのおっちゃんたちのしょうもない論議を聞いて、今の野球界の間違いに気づき、ピーターの意見を聞いて「これが正しいんだ」と確信しそれを貫き通す。ビリーは史上最高額の報酬でレッドソックスからお誘いを受けるも、それを断ってアスレチックスに残った。お金なんかじゃ揺り動かないだけの信念を、最初から持っていたわけですね。だからこそ貫き通せた。その心意気に、尊敬の念を抱かずにはいられない。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-09-12 00:19:04) (良:1票) |
26.オスカー大量ノミネートも納得の仕上がりで、欠点らしい欠点がないほどよくできた映画でした。この映画がうまかったのは野球映画として作られていないところで、変革者の苦悩や人生における決断の重要性といった普遍的なテーマを中心に扱っているおかげで、間口の広い映画となっています。野球をまったく観ない方でも楽しめるのではないでしょうか。。。 本作が興味深いのは、スターの存在を否定するマネーボール理論とは正反対の方法論で製作されていること。なんせ、主演は世界一のスターであるブラッド・ピットですからね。脚本は、これまたハリウッド一の脚本家であるスティーブン・ザイリアン。金満ディノ・デ・ラウレンティスをして「ザイリアンは良い仕事をしてくれるが、その分ギャラが高い。本当に高い」と言わしめたスター脚本家が本作を手掛けているわけです。監督は『カポーティ』のベネット・ミラーが担当していますが、当初は、これまたスター監督であるスティーブン・ソダーバーグが予定されていました。マネーボール理論を扱った本作が、マネーボール理論の根本的な発想を否定しているという構図は非常に興味深いと思いました。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 7点(2012-06-28 00:27:14) (良:1票) |
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25.《ネタバレ》 題材はすごくいいものなのに、脚本のせいなのか、もっと面白くできたのではないという気がします。野球の再現部分のやっつけ感も残念。でも野球好きならニヤッとするところもあり、見て損はないかと。メガネの人が良かった。とにかく裕福なチームをそうでないチームが知恵と信念で倒そうとすること自体が、西日本の赤い球団ファンである僕としてはたまらないので+1点。 【来た別府】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-06-11 23:16:19) (笑:1票) |
24.常にロジカルで、場面ごとのパーセンテージやレーティングが重要なアメフトファンにとって、慣習がより重要視される野球というスポーツは不思議なスポーツだ。アメフトの戦術史や業界の内情を解き明かした名著「ザ・ブラインド・サイド(「幸せの隠れ場所」の原作だが、映画はマイケル・オアーの半生が中心で原作とは少し趣向が違う)」の著者でもあるマイケル・ルイスにとっても同じであろうか。しかしそもそもこの映画に登場するような合理的戦術の体現者を排除してしまおうという保守的な勢力はともかく、スカウトのやり取りなどは古き良きとも言える微笑ましい守ってほしいものと感じられるものもあり、戦術上MLBはNFLより30年は遅れているかもしれないが、投手は投げ、野手は打つというスポーツの本質を重視する野球と、何よりも観客に対する娯楽性とプレーの合理性を重視するアメフト、どちらに軍配を上げるのは良し悪しな気もする。ともあれ興味深い内情を明かした快作であるが、この部分でもアメフトではエニイ・ギブン・サンデー(ある意味「ザ・ブラインド・サイド」に近いのは幸せの隠れ場所よりむしろこちらだろう)のような作品が10年前に出ておりこれを思い出して懐かしい気がしたというのは皮肉である。何よりサラリーキャップ制が無いというのがメジャーリーグの体質が古い原点だろうが、野球も一方で古き良きものは残しつつ、新たな要素を取り入れる者も歓迎する多様性のあるスポーツとして見る者を楽しませてほしいものだ。 【Arufu】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-03-24 02:07:29) (良:1票) |
23.広岡達朗さんが思い浮かびました。嫌われる事を苦にせず信念を貫くGMをブラッド・ピットが好演。選手目線、監督目線でなく、GM目線で描かれる毛色の変わった良作。 |
22.野球を描きながらGMやそれを補佐する人が中心になっている珍しい映画。理論の正しさを証明する過程が面白かった。 【海牛大夫】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-03-18 14:10:21) |
21.鑑賞後読了。野球は奥が深い。ブラピはこういう役が似合ってる。 【TERU】さん [ブルーレイ(吹替)] 7点(2023-03-17 21:51:37) |
20.《ネタバレ》 統計でチームを強くするって息巻いたんだけど、監督の協力が得られず、なかなか結果が出ない。 次の就職口のこともあるから、俺は実力で起用すると文句を言う監督は、なんだか生々しくてアメリカ的。 それならと敢行するトレード作戦で物語は最高潮に。 ここは盛り上げ方が上手い。 クリス・プラットがバッターボックスに入った時には、知らず知らず祈ってたもんなあ。 ここで終わってたらスッキリだったんだけど、元々は野球の常識を変えるって話だから、ワールドシリーズまでいって優勝しないといけなくて。 結局他のチームに革命を横取りされて、それでもアスレチックスで頑張ってるって文字で終わらせる作戦。 球界の改革とチーム愛がなんだか両立してない感じがするのが多分モヤモヤの原因かと。 でも、相変わらずブラット・ピットはカッコいいから許せる感じ。 |
19.原作も読んでみます。 ベストプレープロ野球の最新版をなんとかだしてもらえないだろうか?PS2版にコボスタ宮城を入れてテキストデータ読み書き機能を追加するだけでも十分だと思うので、どうか一つ! 【マー君】さん [DVD(字幕)] 7点(2016-01-23 12:17:01) |
18.野球が大好きな自分の視点でいえば金満クラブに打ち勝つ一つの戦法としてセイバーメトリックスは理解できるが好きじゃない。 やはりどこか人間味を感じない機械的な手法に疑問を感じることがある。 野球に限らずファンで支えている限り娯楽であるが結果が必要な現場はそういうわけにはいかない。その苦悩を描いたこの話、ブラピの名演光ります。 ジャイアントキリングなんていうのはファンじゃ決して見えない裏方の努力の結晶でしょう。 |
17.ベースボールものの映画として単純に面白いかと言うとちょっと微妙だが、このデータ中心の試みとのセットで興味深い作品となっている。 主人公の人物掘り下げはもう少しあってもいいと思ったけど、そうすると論点ボケるかな、ということでこんなところか。 【simple】さん [地上波(字幕)] 7点(2014-12-14 01:05:41) |
16.正直、あのGMのやり方は駄目だろと思った。出塁率だけで選手集めたって勝てるわけないだろうと。少なくとも監督との連携は不可欠だと思うのだが、あの描かれ方を見る限り実際にも相当仲が悪かったんだなと思った。それでも20連勝するんだから野球って不思議だ。 最後に勝たなければ意味が無いと言うGMの強い信念は凄く伝わってきて、そこには共感できた。 【ヴレア】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2013-11-05 13:32:18) |