1.新しい「ジェーン・エア」。 最初にブロンテ姉妹の小説のダイジェスト版を読んだ時は、「嵐が丘」よりこちらの方が親しみやすかった。 エキセントリックなあちらより、子供でも理解しやすい内容だからでしょうか。 共に不運を背負わされた彼らの物語の要素をうまく配分してゼフィレッリ版より好印象。 「闇の列車、光の旅」の日系監督フクナガの第二作としても上々では。 ミア・ワシコウスカは「アリス・イン・ワンダーランド」とは別人のようなヒロインを若いながら堅実に演じ、素顔風のメイク、地味な衣装に包まれながら意志の強さは散見されるジェーン。 美男美女ではないと言う設定なので、マイケル・ファスベンダーはロチェスターには魅力的すぎるかもしれませんが、傲慢さの陰の孤独、あるものにつながれている苦悩は伝わります。 フラッシュバックのローウッドより後半を重視しており、「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベルが神に仕える自分に添うことを求める牧師セント・ジョンになり、ジェーンを呼ぶロチェスターの声が空間をこえて彼女にとどくのが、ジョンが求婚した刹那なのが映画向きな脚色。 家政婦フェアファックス夫人役のジュディ・デンチが風格あり、ジェーンの恋敵ブランシュの母親役で「ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎」のソフィー・ワードも出演しており、20年前の「嵐が丘」ではイザベラ役だったので、ブロンテ姉妹の両方の映画に出た女優さんということになると思います。