2.《ネタバレ》 そもそもは大好きナオミ・ワッツさん出演という理由だけで、さして予備知識もなく見始めた作品。しかしながら、観終わってみれば一見邦画かなと思ってしまうような日本的、或いは東洋的な価値観・人間愛・宗教間を感じさせてくれる佳作でした。
マシューさんの嫌な旦那っぷりとナオミさんの悲しいぐらい堕落してしまいそうな嫁っぷりの演技。流石ですね。渡辺謙さんの傷付き疲弊しながらも生命力に溢れた存在感も流石でした。
初出時には超違和感だった「キイロ」という名前の伏線はもうひとひねり欲しかったところ。どう考えても「ファイナルデスティネーション」的に交差点で突っ込まれてしまう顛末は、物語の展開上予定調和的必然性を感じてしまうこと。些末なところでは、いくら凍えているからといって遺体の衣服を拝借して着用していて大丈夫なの?とか、テントの中だって相当な状況だろうに?とか…。気になるディテールはありますが、富士の樹海の懐の深さを背景に3人の名優が綴る物語は静謐な中に途切れることのない緊張感が満ちていて見応え十分でした。空港のカウンターや病院の医師、カウンセラーの雰囲気がちょっとばかり日本人離れしていて「あぁやっぱハリウッド作品だ」と思わせられたぐらいが興覚めポイントでした。
結局タクミは誰だったのでしょうか?人知を超えた存在?それともアーサーの良心?無粋な結論が披露されなくて良かった。最後まで納得できた良作でした。