2.《ネタバレ》 100分足らずのスピーディな展開の中、いわゆるストックホルム症候群的な主人公の感情の変化が明確に表現されていて
キャラクターへの好感を無理なく抱かせる。
臨機応変に男たちに指示を伝えるジュリア・ロバーツ、上司に敢然と反旗を翻すカトリーナ・バルフら、スマートで颯爽とした女性像も印象的である。
複数のカメラ映像の中から適切なショットを即座に選び取り、俳優やカメラマンに指示を与え、効果的な引用映像を適宜インサート編集しつつ現場を仕切り、
尚且つ外部との情報収集も同時進行で行っていくJ・ロバーツの聡明なさまは監督本人を思わせる。
そこでさりげなく挟まれるのがハワード・ホークスだったりするセンスも堪らない。
スタジオを脱出したジョージ・クルーニーがエレベーター内でJ・ロバーツが聞いているのを知ってか知らずか
彼女に対する真情を吐露する。それをモニターで見る彼女は緊張の中、一瞬表情を緩ませる。そんな瞬間の積み重ねがラストの
ツーショットに向けじわじわと効いていく。
対象を追い続けたカメラマンは、事件の顛末にそっとカメラを反らし、それを我々の側に向けて置く。