1.《ネタバレ》 インタビューから過去に遡り、ラストが講演会で、スピーチがあって、感動の拍手があって、というメッセージ発信型の定番の構成である。
この演説というのが大抵映画をつまらなくするところなのだが、ロボットの動きと、語り部の交代という仕掛けが奏功して
スノーデン氏本人の寡黙な横顔がラストを静かな緊張で締めくくっている。
主義主張が前面に出そうな題材ながら、フィクションを大胆に織り交ぜたサスペンス演出が絶妙に中和している。
会議室の大画面に映し出される上司の威圧感。床に落ちたSDカードを巡る、同僚との視線劇と手話の
感動的なやりとり。そのカードをゲート外に持ち出すシーンの緊迫感と、外の世界の光。
そしてホテルから脱出する際の、メリッサ・レオとの別離のやりとり。特に映画後半はドラマティックなシーンの数々で盛り上がる。
監視の映画として、眼やカメラファインダーをモチーフとしたショットも充実している。