2.《ネタバレ》 原作があること自体知らないです、あくまでも映画を観た感想です。
群像劇は大好きです、ダラダラとしがちですしそれぞれがラストできれいに繋がるものもあればそうじゃないのもありますね。
本作は全体としては、「そうか!!」と感銘するようなテーマ、メッセージ性は弱いと思います。
でもキャストがいいです。ボクサーと試合のシーンについてはいろいろ突っ込みどころはあるものの群像劇にありがちな
登場人物それぞれにとりとめもなく愚痴を語らせていないのがいい。例え映画でも他人の愚痴を延々と聞かされるのはたまったもんじゃありません。
日常の中のありがちな出来事、偶然、幸福感、挫折感などを描きながら最後にはそれぞれきちんと前進して結論があるのよ。
これといった強烈なものはないけれど、私は最初から最後まで心地よく観られました。「小夜曲」によく合ってるんじゃないかと。
夜景の観えるレストランを予約してまで試みたプロポーズに期待とは違う反応の上、彼女は実家に帰ってしまう。
ひとりになった部屋、しょぼんとしながら食パンを袋から出してそのままかじり、グラスに注いだだけの牛乳という侘しさと寂しさを感じる朝ごはんの様子。
このシーンがいちばん印象に残っています、現実の三浦春馬のことと重なってしまったのかもしれません。
でも、それがなくてもこのシーンはたぶんいちばんズキンときただろうな。
セリフもなく短いシーンですが最も心情を表現していて秀逸だと感じました。