1.《ネタバレ》 松本穂香があまりにもトロ臭くて、会話の間合いのタルさには若干(いやかなり)イラっとしながら観ていたのですけど、一方で映画自体の緩やかな「間」の取り方はとても心地好いのですよね(穂香ちゃんの間はそれに合わせているとも言えるかと)。そこに、失われつつある日本の生活空間や、あるいは自然の美しさだとかを乗せてゆく画づくりもまた、非常に味わい深かったです(特に好きなのは終盤の、湖を舞台にした幾つかのシーンとかですね)。
お話の方は本当にささやかなもんで、個人的には正直、空気感&映像の面白さに比べれば観るべき点はさほど無いかも、と思います。ラスト、穂香ちゃんは結局また銭湯で働いてるよーですが、あくまでワタシ的には「イヤイヤ、そーいうことじゃないジャン!」と思ったりもしますですね。
ただもう一つ、重ねてやはり、失われつつある日本の情景を映し出した作品、という部分にも観る価値・残す価値が大いにあるでしょう。単純に情景としても美しく、懐かしく、また興味深くもありますが、そういうモノに対する愛というものが画面から滲み出てくる様なというか、とても優しい映画だと思いますね。個人的にはかなり好きな部類の作品です。