1.《ネタバレ》 ポール・ダノの初監督作品なんですね、共同脚本のゾーイ・カザンはプライベートでもパートナーであり
エリア・カザンの孫だということです。そして初監督作品とは思えないほどのクオリティ、なんかすごいぞ。
夫婦が中心なのかと思ったらそうじゃなく息子のジョーですね、息子からの視点という具合で演じたエド・オクセンボールドがどことなく
佇まいというか雰囲気というかポール・ダノなんです。
えーはっきり申しまして私の価値観ではこの両親はダメです、ジェリーは自己評価だけは高い、それもあって仕事が長続きしない人。
仕事が変わる度に一家で引っ越す羽目になり、その都度行く先が田舎になっていくんですね。モンタナのド田舎に来てまたしても失業。
山火事の消火を手伝うと出かけるんですが、その映像はないしどれほどのことをしたのかは不明。
ジャネットは夫が山火事に出かけ不在になったことでタガが外れたのか、それまでくすぶっていたものが一気に流れ出たようになり、
化粧が濃くなりあっというまに浮気する。あの旦那なので経済的にも安心できる男が現れればフラッとなるのはわかる。
しかし多感な年齢の息子を同席させたり自宅に入れるとか、そういうことをする女は同情も共感も無しです。
山火事から帰ってきたら森林局に採用してもらえるから引っ越しだと当然のように言うジェリー、
行き先はロッキー山脈の東だという、それ山岳地帯になるんじゃないですかね。
そんな両親なのに、やはり息子は親のことを嫌いにはなれないんだなあ。どこかで期待する気持ちがあるんだと思います。
この夫婦はもう元のさやに納まることはないと思います、こんな生活は耐えられないと奥さんが出て行ったら終わりです。
教師の仕事に戻り、髪型も着てるものも変わってたしね。
3人で並んで記念写真を撮るラスト、また家族3人で穏やかに暮らしたいというジョーの願いが込められているようで、もう健気すぎて泣けた。
エンディングの曲がしっとり映画の余韻を持たせてくれて良いんです。
この映画の時代は60年代なんですが、でも古い昔の話ってことではないと思います。