123.《ネタバレ》 レビューがこれだけあって、主人公を助けたあの将校が「ナチス」じゃなく「国防軍」だということを明記しているのはクルイベルさんただ一人(恐縮です(汗))。レビューの内容から察するに、両者の区別がついてる方は恐らく数名でしょう。....ガックリ。それがわからなきゃ何故彼が主人公を助けたのなんかわからないんじゃないですか?。この映画に関しては、それはポーランド人とユダヤ人の区別と同じくらい重要で、大変失礼な言い方ですが、もしこの映画を観て「国防軍」と「ナチス」の違いが気にならなかったら、ご自分に軍事一般について重大な知識の欠如があるかも?と疑ったほうがいいと思います。「軍事知識」といっても戦車や大砲の形式がどうのといったオタク的なことではなく、軍隊の組織や戦争の流れのことです。そういう初歩の知識なしで戦争映画を観ると、大きな誤解をする可能性がありますから。例えば、彼を描くことで、ポランスキーが「ナチスにもいい人がいる」とか「ナチとの心の交流」を描こうとしているなんて思ったら、それは大きな大きな誤解ですよ。彼は「ナチ」じゃない。この映画では徹頭徹尾ナチス=悪で、ナチとの交流なんてあり得ない。ナチにいいとこ無し。皆無です。ポーランド人のナチに対する憎悪は、我々日本人が考えるほど甘くないってことを感じるシーンですね。また、ラスト近くで収容所待ちのドイツ兵達に対して主人公の知人(ユダヤ人)が唾する場面がありますが、あれも恐らく国防軍で、ユダヤを主に迫害したナチの兵隊じゃない。過酷な東部戦線を生きのび、残酷なソ連軍の捕虜にだけはなるまいと必死に逃げた人たちです。大尉は確かに「いい人」かも知れませんが、周りに座っている兵隊達だって決して「悪い人」じゃない。ある意味ユダヤ人みたいな立場で、彼らのその後の運命がとても暗いことを知っていれば、「ざまーみろ」じゃなく、哀しくむなしいシーンだと、まるで正反対の感想を持つんじゃないでしょうか。「ライフ~」や「シンドラー」のように手取り足取りのサービスがなければ、こんなにも誤解する人がいるってのが正直私は恐ろしい。「収容所モノ」は最近多いですけど、この手の映画のレビューに関しては、知れば知るほど「ユダヤ悲惨」みたいな通りいっぺんの言葉は使えなくなります。偉そうですみませんが、自戒をこめてということで。 |
122.《ネタバレ》 観終わった後とくに何も残らないです。特別感動するわけでも何かを考えさせられるわけでもない。ユダヤ人がどれだけ迫害されたかなんて知識としては知ってるんです。でもそんなに長々と見せられても現代の、しかも日本に生きる自分には知識以上のものにはなりえないんですよね。2時間半程度しかないのですが若干長く感じました。中盤切りつめて2時間以内に収めてればもうちょっと観やすかったかも。実話モノ特有の物足りなさがあります。 ですが見応えはかなりありました。戦争シーンは勿論そうなのですがとくに終盤の将校の前でのピアノシーン。タイトルのわりにピアノシーンが少なすぎるっていう意見も多いこの映画ですがピアニストである彼が長い長い逃亡生活でピアノが弾きたくても弾けない…!ピアノのある部屋で鍵盤1つの音も立てる事が許されない生活、という状態が続いたからこそあの将校の前でのピアノシーンが生きてくるんじゃないかなあと思います。それをさし引いても若干冗長な気もしますがそこまでの全てがあのピアノシーンのために撮られていたんじゃないかと思うほどに見応えあり。一体シュピルマンはあの時どんな気持ちでピアノを弾いていたのでしょうか。必見の名シーンだと思います。 【ケ66軍曹】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-05-02 06:14:17) (良:2票) |
121.月光降り注ぐ中,たった二人のコンサート。死を目の前にしたときのピアノの音色は,いったいどれほど美しく響いたのだろうか。あの1シーンのためにこの作品は作られたのだろう。・・・いざという時のため,私も何か習(略 【さそりタイガー】さん [地上波(吹替)] 7点(2009-06-28 01:43:41) (笑:2票) |
120.淡々と静かで、力強い映画だった。主人公シュピルマンは無力だ。この映画は彼の気持ちには全く踏み込まないし、ほとんど語らせない。主人公は、ただ自分のために、逃げる。命がけで自分に手をさしのべてくれた人々が、そのために危険な目にあい、命を落とす。彼は手をさしのべてくれる人々と共に闘うこともしないし、何が何でも生き抜くという信念があるようにすらも見えない。「水が出ない」シーンで、私は何だかシュピルマンという人は無邪気に蛇口をひねれば水が出るように、味方が現れるように思っていたのかな、と思った。どちらかといえば「塔のお姫様」タイプである。最後に命を助けてくれたドイツ人将校も、シュピルマンは救えないし、救えなかったことを後悔するようなセリフすら出てこない。感傷的な言葉も全く無いし、自己弁護の一切がない。だから最初に見たとき、私は自分だけが助かる主人公に共感できず、それよりも、映画の中に出てくる名もない人々の悲劇に泣いた。理由もなく虐殺される人々。ある日突然生活が覆り、抵抗も出来ず、殺される。もしかするとそれこそが、ポランスキー監督の描きたかったものなのかもしれない。シュピルマンが目撃した光景だけを描く形なのだが、「シンドラーのリスト」よりもユダヤ人迫害の事実が上手く浮き彫りにされている。生き残った、それだけですごいことなのだと分かる。大禍を運良く生き残った人々は、何かしら誰かの命がけの厚意を受けたことに感謝すると同時に、自分だけが生き残った痛みを心の奥に抱えているのかもしれない。何度かこの映画を観たら、そんな気がした。 【ルクレツィアの娘】さん 7点(2004-01-28 22:10:33) (良:2票) |
119.虚無感と嫌悪感が同時に襲ってくるような映画。感傷も救いもなし。ヒーローも存在しない。むしろ、ヒーローたりえる人から先に死んでいく。しかし、それが当時の現実であり、この映画の中ではまさしく、嫌悪の対象となるようなことが当たり前のように行われている。そのような事実をわれわれの眼前に突きつけただけでもこの映画は成功といえるのではないだろうか。 【犬】さん 7点(2003-12-01 23:20:38) (良:2票) |
118.《ネタバレ》 助けてくれた将校さんが亡くなってしまったのがショックだった。良い人が報われない残酷さがありました。 (映画を見た後に私はいつもこちらのサイトをみたり、wikipediaをみてさらに考察を深めたり登場人物について調べたりするのですが、この映画については実話に基づいているということもあり色んな登場人物の半生を読んでいたら四時間が過ぎていた。) 【ブリーバンデカンプ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2020-05-23 11:30:18) (良:1票) |
117.《ネタバレ》 とても良かったのだが、欲を言えば、もう少し芸術家としての苦悩を描いて欲しかった。 もちろん身を隠さなければならない状況においても芸術家として、ピアニストとしての悲哀を描くシーンはあったんだけど、 芸術家としてより、ユダヤ人として苦しんでる姿の方が色濃く描かれてたと思います。 それはそれで悪くはないのですが、「戦場のピアニスト」だなんて大層な邦題が付いてるもんだから、ラストに救われたシーンがあって良かったな、と思う反面、もっと良くなったのかもとも思いました。 全体的には、とても見応えのある映画だという評価ではあるのですが。 【バニーボーイ】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-01-23 12:45:43) (良:1票) |
116.ポーランドの退廃したセットに絶望感を覚えた。見事な再現だった。ポーランドの国歌は希望に溢れる明るいメロディなのに。 【Michael.K】さん [映画館(字幕)] 7点(2007-01-20 19:52:12) (良:1票) |
115.周りに散々迷惑をかけつつまんまと自分だけ生き延びる主人公に、有罪判決を受けながらちゃっかり逃げおおせたどこかの映画監督の姿がダブって見えました。 【MEL】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-05-07 03:53:42) (笑:1票) |
114.戦場に放り込まれてもなお音楽を愛し続けた、一人のピアニストによる愛と感動のストーリー。今、劇場が涙で包まれる……! って感じの映画かと思ったら全然違うんでやんの。なんか知らんけどいっつも泣きそうな顔した情けねぇ顔のオッサンがひたすら逃げ回る映画。愛も感動もナシ。「映画史上もっともカッコ悪いヒーロー」とどこかで紹介されていたという話も頷けますね。だが、それが良い。主人公が無力であることによって、あの時代に虐げられていた人々の鬱積とした気持ちが手に取るように伝わってくるワケだ。そういう点で制作側の試みは成功してるんじゃないですかね。エンターテイメント的な要素はあまりないけど、こういう映画こそ後世に残すべきなんだろうな。そして学校の社会科の時間に見せられた学生があまりのダルさに居眠りをする。これはそんな映画になっていくと思います。 【コバ香具師】さん 7点(2004-10-04 11:32:46) (笑:1票) |
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113.《ネタバレ》 とても良くできているし、拍手を送りたい映画だが、事実を元にしているだけあってあまり映画として楽しめる作品ではない。それは「重い」「残酷」などの理由で楽しめないのではない。ドイツ人に対しての蜂起にも参加せず、ただひたすら逃げ続けるだけの主人公に嫌悪感を抱くからだ。更に、逃亡中、ピアノを切望している主人公にも関わらず、自分からピアノを弾くシーンが全く無いのも頂けない。「見つかる覚悟で・・・」という展開を「ピアニスト」と付く映画に、こういった期待してしまうのは一映画ファンとして当然だと私は思う。これで「ただのユダヤ人の映画」と言われてもしょうがないだろう。あと原題の「The Pianist」に「戦場の」を付けた邦題には怒りを覚える。なぜならこの作品には戦場らしい戦場は一度たりとも出てこないし、主人公は只管に逃げていただけだからだ。私には「戦場」と付ければ客が入ると見越して付けたとしか思えない。そして「戦場の悲惨さが・・・」と完璧に内容を勘違いして、ユダヤ人の方々には無礼極まりない感想を持っている人が少なからずいることにも私は怒りを覚えずにはいられない。 【Я】さん 7点(2004-02-27 16:08:59) (笑:1票) |
112.作品賞、なんで人殺ししたおねえさん二人が踊ってる方へ持っていかれたのか?去年の米国の状況か?ただ単に楽しい方がいいのかな?とか疑問でした。が、私の勝手な解釈ですが、ちょっと納得もいきました。 とにかく終盤の好転がとてもあっさりしてて驚きです。解放後、見違える様になった彼の姿に、平和の素晴らしさを実感して感動するか OR 芸に秀でたアンタだけラッキーやったなあー(同時にオスカー個人賞だけ獲ったのは皮肉だ)と思ってしまうかで印象が違うのかなー、と思います。私はその両方を同時に感じたのでストレス持ちました。 うちの子どもは、ピアノ弾く草なぎ君、なんて言います、この子が何年かあとにこれを観て、前半に何も感じない子であってほしくない、という恐怖も感じます。ですが私自身この子に戦争の酷さを教えきれる自信がなく、親として情けない思いで一杯です。 【かーすけ】さん 7点(2004-01-23 03:00:11) (良:1票) |
111.私も期待しすぎて見てしまった事もあり10点!と言うわけではありませんが、良い映画だったと思います。「主人公が自分だけ助かろうとして逃げ回っているのがちょっと…感動できない」みたいなコメントや、いっしょに見た友達も似たような感想を言っていましたが、私も一瞬そう思いました。確かに判りやすいお涙ちょうだいの映画ならそういう自分を犠牲にし人を助け・・・という展開もアリかもしれません。けれど、人間をそこまでにしてしまうのが戦争なんじゃないかなとも、思いました。最後に捕らえられたドイツ兵が「シュピルマンを助けたのだから、助けてくれ」と自分も助けたんだからお前も助けろみたいなことを言うのも、私ははじめ「結局は人間て汚いな、結局は自分がいちばんかわいいんじゃん」と思いましたが、プライドを捨て、命乞いをしてまでも「生きたい」って思って何がなんでも生きようとするのが、人間の姿な気がしました。同じアウシュビッツを舞台にした映画の、自分を犠牲にして子ども達と運命を共にしたコルチャック先生も尊敬しますが、意地でも生きぬいたシュピルマンやその他の生き残った人達も尊敬します。かっこいい人のかっこいい話じゃない生身の話だと思いました。 【恭子】さん 7点(2003-05-06 12:48:35) (良:1票) |
110.逃げ回ってるシーンが多く、ピアニストとしての特徴を発揮する場面が少なかった。色んな人に助けられたあげく、最後はスマートに演奏して終わりっっ、物足りない。 |
109.《ネタバレ》 ドイツの支配地では、ユダヤ人であるというただそれだけの理由で無造作に殺される1940年ごろの話。主人公も状況の中、抵抗できるわけもなくただあちこち逃げるのが精一杯。最終的に助かったのはたまたま運が良かったとしか言えないものです。主人公がある目的に向かって主体的に動くことがないので鑑賞していても爽快感に欠けますが、軍人にもレジスタンスにもなれない人がいかに過酷な生活を強いられたか、よく分かります。終盤に主人公を助けてドイツ将校ですが、他にも救った相手がいると知り驚きました。個人レベルではそういうケースもあったんですね。 【次郎丸三郎】さん [DVD(吹替)] 7点(2023-06-08 15:43:39) |
108.《ネタバレ》 ユダヤ人移民の子孫であるスピルバーグは「ユダヤ系の僕がホロコーストを撮らないで誰が撮る?」と宣言して『シンドラーのリスト』を製作しました。その約10年後に生粋のアメリカ人でベビーブーマーのスピルバーグと違って実際にゲットーで生活したポランスキーが、ヨーロッパ人的かつ彼独特の粘っこさを持った視点でホロコーストの一面を描いたということになります。 本作にはある意味で個人のドラマというものは存在しないとも言えます。シュピルマンとその家族そして周囲のポーランド人にしろ、ヒトラーという独裁者が起こした歴史の渦に飲み込まれて、ある者は絶滅収容所である者はワルシャワの市街戦で死に、またある者はシュピルマンの様に生き延びることができたという、ポランスキーの冷徹な視線を感じてしまうのです。43年のワルシャワ・ゲットーの蜂起、44年のポーランド国内軍の蜂起がともに描かれていますが、それはビルの上階からシュピルマンが見た視点だけで描かれていて決してカメラが戦場に寄って行かないところも、まるで神の視点みたいで意味深です。 そして『シンドラーのリスト』との最大の相違は、両作とも多少の良心を持ったドイツ人がユダヤ人を助けるけど、本作のドイツ人将校は報われることもなく捕虜収容所で死に、そのことに対して少しも同情していないようなポランスキーの視線を感じてしまうことです。『シンドラーのリスト』のようなカタルシスとあざとい涙腺崩壊効果がない点がまた大きな違いでもあり、彼の過酷な人生体験がもたらした結果なのかもしれないけど、ポランスキーは実はヒューマニズムを信じていないのかもしれません。この映画ではシュピルマンの行動や周囲の出来事に関してちょっとブラックなユーモアを感じさせるシーンもありますが、そこに監督の底意地の悪さを感じてしまうのは私だけでしょうか? 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-06-01 23:26:25) |
107.戦時中のワルシャワでのユダヤ人の扱いが生々しく描いてあり、改めてホロコーストの恐ろしさを実感する。多くの人の支援により(終盤のドイツ人将校含む)生き延びるわけだが、戦後、それらの人々との再会や交流まで描かれると良かった。好み30/50、演出12/15、脚本8/15、演技7/10、技術9/10、合計66/100→7/10点 |
106.《ネタバレ》 迫害が残酷なんてテーマは何度も見てきたが描写は比較的優しくてヒューマンに趣があり見やすい内容ではないでしょうか。 ドイツ軍から如何に逃れるかは興味を引きつける場面が多く、主人公の運の強さにビックリですね。 職業がピアニストというだけあって演奏でユダヤ人を癒して勇気づけたわけでもなくピアノが逃れる術だったのか少し疑問なため、「戦場のピアニスト」という邦題はどうかと思いますが実話だし、飽きずに最後まで。まぁ及第点以上の出来。 前半にみられる弟との関係は何とも切なく印象的。 |
105.《ネタバレ》 感動よりも重苦しさと疲労が上回る。人道のために何かを成し遂げたわけではなく、単にピアニストとしての芸があっただけで偶然助けられたに過ぎない。当事者であったポランスキーはそういう部分を熟知していたに違いない。極限状態の中で自分のことで手一杯で、狡猾でしたたかに生き延びること。ヒロイズムを排してこそ炙り出される人間の本性がそこにある。後ろめたさはあれど、何もしてあげることが出来ず、表情は硬く凍りついたまま。それ故に、甘美で情緒的なショパンの楽曲が生の歓喜として表現され、演奏を一層際立たせる。そのための疲労であるならば、追体験としては成功しているのではないか。 |
104.ユダヤ人迫害の内容と迫害された一家の様子が良く分る映画です。しかし、その後、ユダヤ人の国家であるイスラエルがパレスチナの人々を何十年に渡って迫害し続けている現実も一方にあります。同じことをやっているんだよね。以外に思ったのは、初めのうちは、ドイツが実施したユダヤ人隔離政策は、それほど厳しい内容ではないこと。よっぽど当時、アメリカが国内にいる日本人を強制収容所に入れた内容のほうが人権を侵害している。 【cogito】さん [DVD(字幕)] 7点(2015-07-05 09:19:15) |