6.撮影は、日本映画界きっての名前が「冠」にできる数少ないカメラマンの一人、
木村大作。
彼は、黒澤明監督作品を始め、極寒の中での過酷な撮影で知られる『八甲田山』や
『南極物語』、オリビア・ハッセーやチャック・ノリスと言った当時のハリウッド大
スターと対等に渡りあって撮影を慣行した『復活の日』などのカメラマンで知られている。
近年の作品では、高倉健に指名を受け撮影を担当した「鉄道員(ぽっぽや)」があるが、彼の現場での影響力は監督をも上回り、撮影指導や演技指導を自らこなしたり、特異な撮影秘話が豊富なことで有名であるが、本作品では、白昼の銀座でのロケーション撮影を無許可で強行しているという裏話がある。
この作品で圧巻なのは、やはりこの銀座でのロケ。
テレビ中継され、大勢の報道陣や警察関係者に囲まれながら、犯人に指名された
人物が3億円の身代金を背負って、銀座の繁華街を犯人の指示通りに移動して行くと
いうシーン。
撮影によって銀座がパニックになるであろうことから、申請しても撮影許可がおりないと睨んだ木村氏は、こっそり無許可で撮影を敢行する。
その上空にテレビ局や報道のヘリという設定で、たくさんのヘリを飛び交わせ、上空からの撮影を行うと共に、報道陣に扮した何十人ものカメラマンが、何十台ものムービー
カメラを抱えてリハーサルなしの一発本番撮影を行っているのだ。
ストーリーも非常に良くできており、一大エンターテイメントに仕上がっている。