21.《ネタバレ》 八甲田山という映画がある事は以前から知っていましたが、シベリア遠征のための訓練の話だとは知りませんでした。 確かに苛酷であるのは容易に見てとれるのですが、訓練の話となるとどうしても面白さを割り引かざるを得ないという気がしてきます。 映画の序盤で、これから過酷な地に向かうという事もあり、その前フリがあらゆる場面にちりばめて出てくるのが映画を盛り上げるのに生きていたように思えました(若干演出過剰気味ですが)。 まず、トップの人間から困難な任務であることを聞かされたり、麓の村民からも無理だと諭されたり、また、神田大尉の奥さんに食事を日程分よりも多く入れておいてくれという台詞からは彼が内に秘めている悪い予感が的中することを暗示させていたりして、入山前から並々ならぬ緊張感を漂わせていて実に面白いです。 更に、山田少佐が村民に対し案内は要らんと拒否する一連のシークエンスの間、神田大尉の背中を映し続けるカメラが彼の受ける絶望感や悲壮感を静かに炙り出していて、ここが自分にとってこの映画の中で一番好きなシーンです。 映画のほとんどが雪の中での過酷な状況である中でも、ひときわ群を抜くのが雪崩のシーン。人工的に作り出したのだとしても、ここは本当に命懸けであっただろうし、更には、物語の中で夜を越す場面ではテントも張らずにただ雪洞を掘ってそこで立って寝るだけというのが、昔の人は凄いなぁとこの映画で一番驚かされたところです。 【もっつぁれら】さん [映画館(邦画)] 7点(2014-11-15 22:02:23) (良:2票) |
20.《ネタバレ》 まず始めによく撮ったな!て思うほどの凄さを感じずにはいられない。この時代だからこそ撮れた映画だ。何と言っても俳優の力量が今とはまるで違う程の凄い本物の映画俳優と言える顔ぶれが沢山です。高倉健と北大路欣也との対比の描き方、北大路欣也の神田大尉のリーダーとしての資質の弱さがよく現れる「天は我々を見放した」に応える様に次々と雪の中倒れて行く人達、一方で高倉健の徳島大尉のリーダーとしての資質の強さがもたらす人間としての強さが自分と自分に着いてくる人達を助けることになる。そしてもう一人忘れてはならない三国連太郎の山田少佐の自らの過ちを認める場面は今の日本人、特に政治家に大きく欠けているように思えてならない。これはそんな偉そうな大人達に自分さえ良ければ他人はどうなっても構わないという考え方しか持てない人間に見せるべき映画だ。全体的に長く感じる上に画面全体暗過ぎる難点があるが人間とは何か?命とは何か?を大いに考えさせられ映画として、面白いつまらないは別として一度は見て損のない映画だ。 【青観】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-12-23 14:04:38) (良:2票) |
19.《ネタバレ》 橋本忍脚本にアクションを加えたらどうなるか? もうそれだけで、一見の価値がある。 見事なリーダー論になってる。 二つの隊が、雪の中の行進をする。 それぞれの隊のリーダーの在り方で命運が変わる、と言ってもいいくらいの違いがある。 吹雪の中、あと2キロの目的地に行くか行かないか、土地に詳しい案内を頼むか頼まないか・・等々 中盤、北大路欣也の部隊が全滅したあと、高倉健の部隊が進むかどうか、 軍本部は中止させたいが、連絡方法がない、というとこは、もっと見せ場にできたと思う。 ラスト、生き残った部隊が、日露戦争で全滅したという説明書きが出て、鑑賞後、凹んだ。 (実話ですよね。簡単にコメント言えない) 木村大作の撮影が見事!さすが日本を代表するカメラスタッフ! 【トント】さん [DVD(邦画)] 7点(2024-04-07 21:10:13) (良:1票) |
18.《ネタバレ》 高倉健、北大路欣也など往年の名優たちが出演する超豪華な映画。自然の美しさと恐ろしさを肌で感じさせるような作品。その中において、人は時々対比的に愚かな判断をしてしまうことがある。夏に八甲田に行った後、興味を持って見たんだけど、もう一度八甲田に行ってみたくなった。あと、高倉健はカッコ良いんだなと、恥ずかしながら今更気がついた。 【lalala】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2018-12-09 19:35:23) (良:1票) |
17.《ネタバレ》 かなり久しぶりの再見。昔見てすごく面白かった映画だが、さすがに今見ると冗長に感じるかもと思いながら見始めたのだが、やはり雪中行軍が始まったあたりから見入ってしまい、真冬の雪山の怖さというものがすごくリアリティーを持って描かれているし、それに対する人間の無知や無力さも(とくに三國連太郎演じる山田少佐を通して)よく描かれていて見ごたえのじゅうぶんある映画になっていると思う。山田少佐に指揮権を奪われた神田(北大路欣也)隊が遭難して白い地獄を右往左往するのに対して、入念な計画のもとに実行した徳島(高倉健)隊が特に何事もなく進むのが対比的に描かれていて面白く、それぞれのリーダーの在り方一つで命運を分けるということもちゃんと描かれていて、リーダーとは何かを考えさせられる映画にもなっていて、それが以前に見た時には気づかなかった本作の面白さの一つだろう。公開当時はサラリーマンに人気があったと聞くが、山田少佐に振り回される神田大尉が見ていてだんだんと哀れに思えてきてそのあたりも納得。徳島大尉と神田大尉の友情・交流を序盤で描いているので、二つの部隊が八甲田山ですれ違うのを神田大尉が楽しみにしているという部分にドラマが生まれ、だからこそ、神田大尉の遺体を前にした徳島大尉の前に神田大尉の幻が現れ、語り掛けるシーンと、棺に入った神田大尉に徳島大尉が会う終盤のシーンはグッとくるものがあり、泣けてしまう。またこのシーンでは一緒にいる神田大尉の妻(栗原小巻)が徳島大尉にかける言葉も良かった。「日本沈没」でもコンビを組んでいる森谷司郎監督と脚本の橋本忍はともに黒澤明監督に携わっていた人だが、本作の男臭さやリアリティある描写はやはりその影響も感じられるものになっている気がする。木村大作(この人も黒澤明監督の映画で撮影助手をしていた。)が初めて撮影を担当した高倉健の映画でもあるが、雪山での撮影も見事で、木村大作=雪というイメージで語られることが多いけど、そのイメージは本作で決定づけられたのではないかと思わずにはいられない。芥川也寸志の音楽もやっぱりいいなあ。(2024年8月18日更新) 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2005-03-22 17:30:37) (良:1票) |
16.《ネタバレ》 「無能な大将 敵より怖い」とか「服従と責任放棄」とか、人間側のドラマを見て考えたりはするけれど、まあ、なんと言っても本作の主役は「八甲田山」なわけで。とにかく、冬の八甲田山が人間を容赦なく飲み込んでいく姿を見せつけられる。徳島隊は最善を尽くしたのだと思うが、それでも冬山に見逃してもらえたのはとても運がよかっただけ。ぎりぎり。40年前に小学生のワタシがまちの公民館で見て以来の、トラウマ映画。大竹まこと氏のベストアクト。北大路欣也が舌を噛んで死んだとか、三國連太郎が銃で自殺したとかはさっぱり忘れてたけど。大竹氏が雪洞を出てすぐ発狂して(最初に)死ぬシーンは恐怖と共に覚えてました。なお、3日かけてようやく再見しました。怖すぎて。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 7点(2023-10-12 20:51:02) |
15.名前だけは知っていた日本映画の金字塔とも言うべき作品を今更ながら鑑賞した。 端的に感想を述べるならば、「無知」は罪である----------この一言に尽きる。 視聴後に、深い溜め息が漏れる作品なのは否めない。 百歩譲って雪山の恐ろしさを知らないのは仕方がないにしても、「山」の恐ろしささえも知らなかったのだろうか。 映画鑑賞後に史実を少々調べてみると、上層部の愚かさが寧ろ滑稽に思えるほどだった。 亡くなった方々の冥福を祈るためにも、この映画を後世まで語り継きたい。 【めたもん】さん [DVD(字幕)] 7点(2021-10-08 15:20:09) |
14.新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」の息詰まる迫力というのは、克明な描写がもたらす“記録文学っぽさ”に大いに由来しているだけれど、その一方で、作家の想像による補填というだけではない明らかな創作も多々含まれていて、実際の事件に取材しているとは言え、登場人物の名前は皆、実在の人物から変えられていたりするのですな(その前に書かれた短編「八甲田山」ではまだ、それこそ作家の人生観を反映させるような創作は目立たず、雪山の恐怖を描く事自体に主眼があったものの、この時点ですでに名前の変更が行われている。一部の名前は「八甲田山死の彷徨」でさらに変更されている)。で、まあ、この映画もあくまで、小説「八甲田山死の彷徨」の映画化作品なワケです。青森第五聯隊と弘前第三十一聯隊の運命を、やや残酷なまでの対比をもって描かれるのですが、一方で、やはり役者が身をもって演じる“映画”ならではの、同情というか優しさのようなものも感じさせます。何しろ、雪山ロケの、どこまでが演出なのか(それとも演出など有って無いようなものなのか)わからぬトンデモナイ過酷な光景が延々と続くのですから、「ちょっとイイ話」的なセンチな要素も、映画に入れたくなるってもんでしょう。そのくらい、この映画は、やり過ぎです(笑)。カメラのレンズにまで雪が積もってませんでしたっけか。本当に撮影中に死人が出なかったのだろうか、なんぞとついつい心配してしまう、猛烈に我々に訴えかける力のある映画(映画の完成度とか何とかはそっちのけで)。そんな訳で、必ずしも記録文学とは言えない原作に基づいて、ある意味“記録映画”な作品が出来ましたとさ。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-09-11 22:29:34) |
13.物語の設定と同じように、実際の冬の八甲田で撮影するという極めて過酷な状況の中でできあがった映画だ。映画は原作と同様に大変な人気を呼び、私の勤務する高校でも学校をあげて鑑賞することとなった。 事細かに雪中行軍に至った経緯が語られ、青森の第5連隊と弘前の第31連隊がともに真冬の八甲田を踏破する計画が進められる。しかし案内人を用い少数精鋭の小隊で編成された31連隊と、大隊長らも加わって統制のとれなくなった第5連隊とでは、計画内容は大きく違っていた。この辺の描き方が実に丁寧で、前半からすでに見応えのある堂々とした映画になっている。 ところが大規模なスケールで始まった映画も、悪天候の雪の中では誰が誰だかわからず、豪華キャストも形無しになっているように思われる。そしてまた、雪の中で彷徨する過酷な重苦しいシーンが続くが、それはまた観客にも同様の体験を味わってもらいたいとさえ言っているように思える。 その中にあって回想シーンがアクセントとなって映画を引き立てている。また全編繰り返し流れる音楽もまた良い。 ただ心配なのは、時代背景や走行ルートなどある程度の知識を持っていないと、ただ単に雪の中を歩く映画に思われてしまいそうだ。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-07-19 06:50:46) |
12.史実をベースにした人間ドラマ。 かなり脚色も入っているようだけど、橋本忍の脚本は相変わらずの安定感があり、 どっしりとした見応えのある重厚なドラマに仕上がっている。 豪華役者陣のキャスティングも素晴らしく、緊張感のある展開に一瞬たりとも目が離せない。 と思ったら、目が離せないのは映像がもの凄い暗く、役者の顔が見えないことも要因だった。 表情が見えない。演技がわからない。顔がスミで真っ黒に塗り潰しているようなシーンもあり、 これはちょっとひどすぎるね。映像で減点だなんて、勿体ないなぁ。 ものすごい集中力を駆使した映画だった。 【MAHITO】さん [映画館(邦画)] 7点(2011-08-18 18:51:57) |
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11.誠実キャラは徹底的に真実一路、間抜けキャラは徹底的に間抜け! それぞれの個性が際立っていてストーリーを引き立てているのですが、それが極端すぎてキャラクターに人生というか背景の歴史を感じられないのが少し残念。 舞台芝居みたいになっちゃってる気がします。 それにしても観ていて寒すぎる!真夏にでも鳥肌が立つほど寒く感じます 【パターズ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2008-10-15 17:23:53) |
10.位置関係が分かりにくいためか、北大路側の孤独感・絶望感が感じにくかった。「天は我を・・・」の有名なセリフの後も長かったですね。それにしても豪華な俳優陣だ! 【次郎丸三郎】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-08-15 09:13:26) |
9.組織の中にいる人間に出来る事は?その組織が軍隊なら出来る事など・・・ 【東京ロッキー】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-06-30 15:31:29) |
8.豪華キャストですね。秋吉久美子が可愛いです。が、彼女との別れ際、敬礼で見送るっつーのは他の方も書いておられましたが嘘くさくってしらけます。原作どおり金を払って後ろにつかせた方がリアリティがあったんちゃうかな。高倉ブランドを守る為の演出やろーけど。前田吟が弟の凍死体を見つけて号泣するシーンでは、こっちまで大粒の涙を流してしまいました。そんなワタクシ、泣きのポイントが西田局長とほぼ同じやったりします。(韓流では泣けんのにな?) 【海の雫】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-11-13 15:18:43) |
7.豪華キャストなので楽しみにしてたけど雪のせいでなくてもほとんど判別が難しい。緒方拳なんかは若すぎてわからないし。その中でも健さんはさすがでほとんど変わってない感じ。映画としてはホラー映画かといいうくらい怖さはあった。秋吉久美子のかわいらしさが印象に残った。 【バカ王子】さん 7点(2004-01-28 22:01:10) |
6.久々に、BSで鑑賞しました..以前からの印象と変わらず、シリアスで、とても真面目な作品..でも、時代を感じさせる、演出がちらほら..青森歩兵第5連隊の幹部や、雪中行軍随行の三國連太郎あたりのキャラが、アホで極端過ぎる..しかしながら、高倉健 の弘前第31連隊は、シビレるくらい カッコイイ!!高倉健 あっての、八甲田山と言っても過言ではない..邦画ファンなら一見の価値あり... 【コナンが一番】さん [映画館(邦画)] 7点(2004-01-27 11:35:23) |
5.無謀な雪中行軍を企画した軍のお偉方や、神田隊をかき回す馬鹿な大隊長なんかを見ていると、昭和になって中国との泥沼の戦争に突入し、太平洋戦争に至った軍上層部の愚かさが重なってしまう。官僚制度の弊害、極限状態におけるリーダーシップの重要性を教えてくれる作品です。 |
4.アホな上司を持つと命取りですね。実際にこんな事があったのかと思うと恐ろしい限りです。 【カズレー】さん 7点(2003-08-08 00:12:52) |
3.史実を忠実にやっていると言う事で、この評価なのだけど、ちょっと出演者が格好良すぎな気がする。当時の記録等を見るともっと泥臭い面が露骨なまでに出てるのだけどね。あ、それじゃ映画に出来ないか。(笑)【じふぶき】さんが言うように映像で極寒のリアリティを表現するのはするのは本当に難しいと思います。でも当時としては結構良く出来ていたとは思いますけどね。 【奥州亭三景】さん 7点(2003-08-05 18:27:47) |
2.新田次郎はすごいですよ。山岳愛好者で気象観測員で富士山レーダーつけた人だけあって、描写のすごさは感動ものです。この映画もなかなかうまくかけていると感じました。 【みんみん】さん 7点(2003-04-28 22:44:34) |