5.シューベルトのロ短調交響曲(現在与えられてる番号は第7番)が何故未完成に終わったか、の謎をキッカケとして作ったフィクションです。シューベルトは他にも未完成作品が幾つもあり(他には「四重奏断章」等が有名)、実際には大した意味は無いと思われます(一般に言われているのは、第1、第2楽章を3拍子系のテーマで書いてしまい、第3楽章も3拍子のスケルツォなので、書き進めにくくなったんじゃないか、という説)。が、この曲、未完成ゆえに完成された、と言うのはいささか言いすぎでも、とてつもない異彩を放つ個性的な曲で、確かに何か想像力をかき立てるような要素を持ち合わせています(当時はベートーヴェンもまだ第九の作曲途中というから、かなり斬新な音楽です)。本作は、ユーモアも交えながら、未完成の謎にロマンチックな解答を与えており、なかなか音楽にもマッチしています。多分実際のシューベルトよりはかなり美化されてるんでしょうけどね(後に墓を移動する際の調査で身長がかなり低かった事が確認されているようです。また肥満で内向的というから、今生きてれば「オタク」と呼ばれかねない)。 【鱗歌】さん 7点(2003-10-12 01:38:13) (良:1票) |
4.ロ短調交響曲が最初は笑いで中断し、後には涙で中断したという物語。もちろんフィクションで伝記というわけにはいかないが、音楽を愛し若くして亡くなったシューベルトの一面を描いた映画としては良いものだと思う。算数の授業から黒板に音符が並んで「野ばら」の合唱になるところなど凄く良い。溢れ出る音楽を身近なものに書きとめた天才ぶりが出ている。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 7点(2014-09-29 22:37:09) |
3.《ネタバレ》 古典を観ると、ドラマの基本が分かりやすくて勉強になる。人生の掴みを知りたければ、古典を観よう!今の映画が忘れてる人間愛があふれてる。シューベルトが黒板に夢中になって音符を書いたら、子どもたちが歌うシーンの笑いこそ、映画が大事にしたい愛だと自分は思う。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2014-02-03 21:43:04) |
2.何通りもの対比を見られる。世間知らずのお坊ちゃんと、訳知りの大人。民衆の歌とサロン芸術。不器用とテダレ。そして絶対的な階級の違い。筋をたどれば、特権階級に奉仕するものに成り下がっていた芸術家から、人民へ奉仕する芸術家へと、大ざっぱに枠組みをまとめられるんだけど、この映画の感じのよさはそういうところにはなく、お坊ちゃんが嫌味なく描かれている作品として気持ちがいいんだろう。妹的な質屋の娘が、チラチラと姉的なものを見せるところもいい。けなげである。とっても柔らかなものを、大事に大事に傷つけないように描いているこの映画が、ヒトラーが首相になった年に製作されてるってのは、皮肉な偶然というより、社会の気分が均衡をとろうとする必然なのかもしれない。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-09-16 11:57:57) |
1.《ネタバレ》 オーストリアが生んだ偉大なる作曲家、シューベルトの半生を描いた伝記映画!観る前は正直、かなり退屈な作品じゃないのかなあ!なんて思ってはいたけど、思っていたよりも楽しむことが出来ました。「野原」という曲が出来上がる過程、そのエピソードがなかなか面白い。小学校の教師をしているシューベルトが思い付いたゲーテの詩が黒板に書かれていたのをヒントにして、メロディが浮かんで作ったというのもなるほど!て思えたのと、それとこの映画、とにかく画面作りから音楽まで何もかもが美しい。それだけでも観て損のない映画だと思えるし、あまりにも芸術ぽくて嫌だなんて思ってる人、観る前は私もそうでした。これは芸術映画ではあるけど、けして、お堅いだけの映画ではありません。今時のハリウッドの大作も良いけど、たまにはこういう作品に触れるのも良いと思います。 【青観】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-01-19 21:29:52) |