7.《ネタバレ》 キャスティングを見て、仲代達矢と三國連太郎の二大スター競演かと勝手に思い込み見てみたが、実際的には宇野重吉がメインの内容だった。
しかも仲代達矢と三國連太郎が直接会話するシーンがほとんどない。
これはとても残念だった。
その一方で、いかにも昭和的な風情のオッサンどもが脂ギッシュに暗躍する姿が丁寧に描かれていて、一つの様式美というか重厚さというべきか、結構楽しめた。
仲代達矢はノッペラとした陰気な政治家を演じ、実にいい味を出している。
やはり仲代達矢はこうした陰気オッサンを演じさせるとその魅力が倍増する。
(『鬼龍院花子の生涯』で粗暴なヤクザを演じていたが、どうにも似合っていなかった)
陰気な魅力爆発の仲代達矢と言えば、勅使河原宏監督の『他人の顔』が思い浮かぶ。
本作での仲代達矢は、敢えて声を張らず、むしろ若干かすれ声でセリフを喋っていたのが印象的だ。
実に陰気で魅力的な演技!
やはり仲代達矢は日本一の俳優だ。
それにしても宇野重吉は歯が汚いなぁ。
話し方も汚いし。
画面に出突っ張りだったので気持ちが悪かった。
もし映画館のスクリーンで見ていたらもっと気持ちが悪かったに違いない。
幾度となく女とイチャつき、女を抱くシーンが出てくるが、男ってものは金や権力を得ると、かなりの確率で女遊びをするもんなのかねぇ?
それともこれも昭和的な古臭さなのかな?
私には金も権力も(ついでに自由も)無いので真偽のほどは分かりかねるが。