1.《ネタバレ》 テーマ自体が大多数の日本人には縁遠いというか嫌悪感を催すことなので、評価されにくいでしょう。この映画で描かれているのはプロテスタント信仰であり、同じアメリカ人でもカトリック信者はこういう狂信的な信仰を嫌うところは日本人以上かもしれません。伝道師のジーン・シモンズの言動には“危ない人”としか思えない部分もあり、とてもじゃないけど感情移入しがたいです。その半面、バート・ランカスターが演じるエルマー・ガントリーは過剰なほど人間味があふれるキャラです。本作でのランカスターの驚異の弁舌力はもう圧巻です。彼がその能力を活かして宗教界の大立者になってゆくストーリーだと思っていたら、実はそう単純なお話しではなかったというのが、この映画のひねったところかもしれません。脇で新聞記者らしからぬ冷静な視点でシモンズとランカスターを追ってゆくアーサー・ケネディもなかなか良い味を出していました。シモンズが奇跡らしきものを起こした途端に失火で教会が焼け落ちるラストの展開も、「お前、調子に乗るんじゃないぞ!」という神様の怒りが爆発したみたいに感じませんかね?そう考えると信仰に対するけっこうシニカルなニュアンスも垣間見られる気もしますし、もっと評価されても良いんじゃないかと思います。