1.怪談モノといっても、四谷怪談や番町皿屋敷みたいな怨霊にとりつかれた人間の自滅する様を描くのではなく、むしろ怪奇民話に出てくる妖怪モノ(映画では雪の精といっているが)といったほうがよいのかもしれない。すると当然、鑑賞のポイントは作品が放つ民話的世界観と雪女の登場シーン。雪女を演じる藤村志保自身が色白の長身で、しかも手も冷たそうで(失礼! !)これがなかなかイメージに合っている。雪女の口から発する声といい、キーンと凍てついた雰囲気描写といい背筋をゾクゾクさせてくれた。とくに不気味な眼が良かった。少々中だるみはあるが郷愁を誘う夫婦物語にしたのが正解で、エンディングもたっぷりと余韻を残してくれた。