2.成瀬巳喜男監督が子供映画をというのは珍しい。子供が出てくるというものは成瀬映画には他にも沢山、ある。しかし、子供の視線から大人を見つめて描くというものはあまりないように感じられる。そんな中でもどこか成瀬映画ならではの空気、張り詰めた中にも子供が健気にしている場面などを見ると、ドロドロしすぎてなくて、子供映画としての空気というものが見えて、そういう意味では安心して見ていられる。物凄いドラマが展開されるかというと、そういうものを期待してしまうと物足りないし、私もそういうものを求めてしまうのがこの監督の映画においての期待であったりもする。安心して見られる反面で他の成瀬映画の傑作の多くに比べてしまうと物足りない気もしなくもないが、子供を描かせても成瀬巳喜男監督は巧みに見せてしまう上手さというものを感じられるそんな映画になっている。