1.《ネタバレ》 コメディ・タッチの和製暗黒街映画。けっこう面白かったです。メインのキャストはそれぞれ好演ですが、特にスーツに身を包んで慇懃な長門裕之が、近年とギャップがあって楽しめました。「柔道二段、合気道三段!」なのにへっぴり腰の浅丘ルリ子もおかしい。しかし出演者では、やはり左卜全・武智豊子の夫婦でしょう。文字通りの名人芸。映画全体を締めていました。特に、妙に拳銃に詳しく、ガンさばきもきまっている婆さん(役名)がステキです。
ただ、全編お笑いというわけでもなく、一瞬夢から覚めるというか、妙に現実的になる場面がありました。これは“悲惨な戦争”を経験した日本人の矜持なのか。偽金作りなら笑い飛ばせるけれど、あの場面ではそういうわけにはいかないという、真面目さを感じました。
ところで、藤村有弘はどこに出ていたのでしょう。よくわかりませんでした。もしかして、最後の中国人だったのかな?