17.《ネタバレ》 どういう訳か私にとって妙に印象の薄い、この第14作。何でこんな印象薄いんでしょうね。劇中でいろいろ派手な事やってくれてるんですけれども。「007映画=おバカ映画」という図式を我々にしっかり植え付けてくれたロジャー・ムーアも、今回がボンド役最終作。ということで、ゴジラ同様、実際の元号とズレはあるものの、この作品までが私にとっての、昭和007。
だもんで。どうもこの作品のイメージが『メカゴジラの逆襲』と微妙に重なってしまうんです。すみません。これは私が悪い。こんなイメージ持たれちゃ、ねえ。
実際は、ジョン・グレン監督はこの後のダルトン=ボンド時代も続投するので、そういう意味ではこの第14作と次の第15作に断絶は無いはず、なんだけど、しかし到底、そうは思えません。やはりこの第14作でもって、一時代の終わり。やっぱり、ボンド役が作品のカラーを決定づけますね。そもそも、「007映画の監督と言えば?」と聞かれたら、普通はテレンス・ヤングか、せいぜいガイ・ハミルトン。あるいは最近の人だったら、答えとしてマーティン・キャンベルとかサム・メンデスとかの名を挙げるかもしれない。もしここで、「ルイス・ギルバート」とか「ジョン・グレン」とかを挙げる人がいたら・・・たぶんそれ、悪意があります(笑)。でも、ロジャー・ムーアのおバカ007映画時代を主に支えたのが、この二人。ヒドいことをしてくれたもんだ、などと言うなかれ。全部、ロジャー・ムーアのせいです。多分。
さて、ボンド役最終作と言うだけあって、、、と言うか、「さすがにそりゃ最終作にもなるわなあ」と言うか、ムーアさん、正直、すでに結構なお歳です。しかし飄々としてクールでエロくてコミカルで。まだまだ余裕のエロダンディぶり。アクションシーンはスタントマン多用しているんでしょうが、そりゃ、あんなスキーやらスノボやらが上手かったら、ホントにMI6で秘密諜報部員できちゃいますよね(?)。しかし、潜水シーンなんかでは、本人が実際に潜って演じているように見える場面もあったりしますが、これ、この歳で実際に本人がやってるんだったら大したもの。役者になっていなかったら、本当にスパイになれたのでは(???)。
今回もおバカアクションの見どころ盛り沢山。タイトル前の雪山の死闘に始まり、エッフェル塔から開始される追跡劇ではパリを舞台にしたカーアクション(最近の映画でこそ、名所でのこういうアクション、増えてきましたが)、007映画らしいアクロバットな演出も。これに対し終盤は金門橋が舞台の、飛行船を使ったアホらしくも派手な戦い。だけどやっぱり目を引くのは、中盤の火災シーンですかね。ややシリアスなテイストで、迫力あり。それからもちろん、あの大洪水の修羅場。巨大セットでの撮影がもたらす臨場感に、息を呑みます。
ここまで言っといて、「印象が薄い作品」も何もないだろ、ってなところですが、悪役のクリストファー・ウォーケンが、ちと弱い。ってか、私は昔、このヒトは本当にヤバい人なんじゃないかと思ってた頃があり(もちろんそんなワケ無いと思いつつも、何となく狂気を身に纏っている感じがして)、それを思うとこの作品では、彼にしてはスケールが小さく、小悪党止まりの印象。冷酷極まり無いことを言ったりやったりしてるんだけど、狂気よりセコさが感じられてしまいます。うん。作品の印象の薄さは、これのせいだ。きっと。メカゴジラのせいにしてはいけません。
ボンドガールは今回は結局、何人いたんだっけ? メインとなるタニア・ロバーツは、これまたイマイチ存在感無いですが、ゴージャス感はありますねえ。そういう意味ではいかにもボンドガールらしいボンドガール。昔、『シーナ』とかもよくテレビで放送してたので有名な女優さんかと思ってたんですが、いや、まあ、どうなんでしょ。ははは。一方の敵方のコワモテ用心棒のグレイス・ジョーンズは、これはインパクトあり過ぎ。最後まで見せ場を作りまくりで、確かにイイんだけど、ムーアおバカ路線にはややそぐわない気もしうつつ。昔、『キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2』とかもたまにテレビで放送してたので、有名な方かと思ってたんですが、その理解で合ってますよね?