15.《ネタバレ》 若き日のマーロン・ブランドの熱演が光る秀作。 『ラストタンゴ・イン・パリ』の中年時代にもない、『ゴッドファーザー』の晩年の時にもない、若かりし頃ならではのマーロン・ブランドの魅力が画面いっぱいに広がる。 ギラギラしたような、まるで鋭利なナイフの様な凄み。 しかしながら、ラストのとってつけた様なハッピーエンドには不満。 ラストはハッピーエンドにせず、マーロン・ブランドが独りで自分なりの正義を押し通して力尽き、その姿をもって、ギャングたちの悪行を世に訴えるといったラストなら、更に感動も強くなったに違いない。 悪童には悪童なりの意地と正義があるはずだ。 それをもっと自然な流れで表現してほしかった。 そこがアメリカ映画の弱いところで、素晴らしい作品ながら、何でも尺の中でハッピーエンドにもっていこうとするアメリカ映画の欠点も、同時に露呈した作品であった様に思う。 【にじばぶ】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2024-06-16 23:04:53) |
14.《ネタバレ》 当たり前ですけど、マーロン・ブランド、若いですよね。こうやって彼の顔をしげしげと眺めると、彼が当時の普通のハリウッド二枚目俳優とはかけ離れた面構えだったことが強く認識できます。彼が演じるテリーは元プロボクサーだった港湾日雇い労働者、腕っぷしは強いはずなのにレース用の鳩の飼育が生きがいで野心もなく日々を流されてゆく男、つまりとてもヒーローになるとは考えられない男なんです。この映画の醍醐味は、そんなどこにでもいそうな凡人をリアルに演じたブランドの演技力とエリア・カザンの演出力にあるんじゃないでしょうか。今じゃすっかり機械化・省力化されているので港湾貨物の積み下ろしが全て人力に頼っていた時代があったなんて想像できませんね、現代ではせいぜいクレーン・オペレーターぐらいしかいないんじゃないでしょうか。この日雇い労働者たちを喰いものにしているボス=リー・J・コッブは実在のマフィアのドンであるアルバート・アナスタシアがモデルなんだそうですが、現在日本最大の勢力を築いているあの組織ももとは神戸港で似たような事をしていたのがルーツであることを想起させられます。カザンの演出は極力リアル指向で、悪に立ち上がる単純なヒーローのストーリーにはせずに、最終盤になるまで仲間の労働者たちが誰もブランドを助けようとしないところがまたリアルです。まあブランド自身も兄=ロッド・スタイガーが殺されるまでぐらついてたから、無理もないのかもしれませんが。タクシー車内でブランドがスタイガーに言う「違う、タイトルは獲れたんだ。そしたら多少は大きな顔もできる身になれた、見ろ、今の俺はただのゴロツキだ!」というシーンは、“アメリカ映画の名台詞ベスト100”の選出で第三位にランクされているそうです。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2024-06-16 22:39:38) |
13.《ネタバレ》 これ、骨太な秀作なのは認めます。でも、観ている間ずっと感じてたある既視感が。これはアレですね、間違いなく往年の日活アクション映画と同じ匂いがします。そう思ったが最後、マーロン・ブランドは若き日の裕次郎かアキラ、いかにも薄幸そうなヒロイン、エヴァ・マリー・セイントは芦川いづみ、殺される兄役は三橋達也あたり、ボス役のリー・J・コップは金子信雄にしか見えなくなってきました。オリジナルのこの作品の粗筋やら人物配置を、いかにも上手く日本流にアレンジしたというか、決して模倣というのではなく換骨奪胎したというか。やるなあ・・・恐るべし全盛期のニッポンの映画人。今回のように、バリエーション派生作品群を後追いしてからオリジナルを観ると却って不思議な既視感を覚えてしまうものなんですね。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(字幕)] 7点(2021-05-05 08:33:26) (良:1票) |
12.《ネタバレ》 港湾の日雇い人夫、組合、マフィアと、なかなか馴染みのない設定なので、とっつきにくいかもしれませんが、善悪のつかない主人公がどうやって善良な行いをしようとしたのか、それが理解できるとラストの立ち上がって仕事場に向かう姿に感情移入できるかと思います。 映画評論家の町山智浩の映画塾の動画を参考にすると、この映画のよさが一層伝わるかと思います。 【クロエ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-04-09 14:50:23) |
11.《ネタバレ》 マーロンブランドが、しっかり演技力している映画。なんとなくセクシーで、三船の存在感に似ている。テンポもあり、セミドキュメント風で面白い。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 7点(2019-01-03 19:34:19) |
10.古い映画ですが、「エデンの東」よりはストーリーも含めて面白かったです。 【ProPace】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-09-18 20:10:06) |
9.《ネタバレ》 殺人をも行う圧制を強いる組合に対して、雇われ人たちが立ち上がるというストーリーで、テーマはすごく面白いと思ったのですが、あまり登場人物に感情移入もできず、映画自体はまあまあかなといった感じでした。 【まいった】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-04-08 12:32:28) |
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8.古臭い。昔の名作と呼ばれるものでも時の試練に耐えて今でも十分に通用するものと、歴史的な価値の方が大きいものとあるが、この作品は後者の部分が大きいように思う。やはり押し付けの正義感が気になるのだ。あの神父の独善的な正義、あれを是としているのはどうにも今の時代には古臭く、色あせて見える。ただし、今なお魅力的に映るのはマーロン・ブランドはじめ、波止場で働く男たちの雰囲気だ。この映画に現在も光り輝いている部分があるとすれば、そのほとんどは、この男たちの匂いに因っていると思う。 【馬飼庄蔵】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-09-15 20:01:38) |
7.マーロン・ブランドのまぶたがやたら腫れぼったいのが気になった。 【カタログ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-05-02 17:15:25) |
6.《ネタバレ》 ラストのマーロンの演技はまさに爽快そのものでした。 【ボビー】さん 7点(2005-03-05 15:36:26) |
5.メッセージ色の強いストレートな良作。マーロン・ブランドがとても良い! 【じふぶき】さん 7点(2004-07-14 21:07:57) |
4.カザンらしい骨太な社会派ドラマ。 本作でも「不正の摘発」という正義を、若き主人公の揺れる心を通じて、真正面から描いている。 マーロン・ブランドは主人公が愛をとおして真実に目覚めていく成長過程を実に繊細に演じていたと思う。 それにしても、彼のまぶたは重そうだ。 【poppo】さん 7点(2004-06-02 11:46:30) |
3.《ネタバレ》 かつての山口組と神戸港の例を挙げるまでもなく、不定期に大量の肉体労働者が必要となる「波止場」とそれを取り仕切る「闇組織」とは相即不離の関係にあります。また、川岸・河原や海岸・湾口など、日常生活圏との「境」の場所が、「不浄」と「聖性」の二重の意味を付与されて被差別的な場所となりやすいことも、社会史を齧ったことのある人には常識でしょう。また、本作の基本的構図――不正で悪どい権力者と、その支配下でぬくぬくと生活し、悪を憎む心がないわけではないものの、その保身ゆえ付和雷同せざるをえない大衆、そしてその覚醒を図る宗教者――も、文字通り古典的。M・ブランドの立ち位置によって単純な勧善懲悪モノに堕していないところに好感が持てました。 |
2.港の労働者たちの組合のボスがまるでマフィアのような悪辣さで描かれている。そんなボスに搾取され牛耳られていても誰も彼に異を唱えることができないでいる。ボクサーくずれのブランドもそんな彼に利用されても反抗できない。不正の暴露に立ち上がるようにアジテーションを飛ばすのは神父のみ、彼の一貫した励ましで兄を殺されたブランドもとうとう証言台に立つ。組合の幹部の不正とか告発など社会派の地味な題材だが、出演者が舞台出身の演技巧者だし緊迫感のある展開で見ごたえがある。ここでは不正に敢然と立ち向かう勇気が描かれているが、監督が赤狩りで裏切り者とされるカザンだからちょっと複雑な感じもする。若いM・ブランドの横顔はP・ニューマンにそっくり。 【キリコ】さん 7点(2004-03-21 21:41:28) |
1.波止場を仕切るやくざの親分に兄を殺された恨みをきっかけに敢然と挑戦するテリー。アメリカ人の好きな映画第八位。社会正義を御旗に掲げた映画で確かにアメリカ人受けする内容です。あの渋く貫禄十分のマーロン・ブランドの若かりし姿が見られます。 【野ばら】さん 7点(2003-04-27 14:45:23) |