1.《ネタバレ》 厚生保健省の国家公務員に採用された藤本賢吾の仕事は、死亡予告証:通称“逝紙(イキガミ)”を、配達すること。国家繁栄維持法により、全員が幼少時に注射された中に0.1%で無作為に入れられたナノカプセルが設定された日時・時刻に破裂する。その少し前にリストアップされた、18~24歳の若者が対象先となる。言われるままに配達して、その人間の最後の生きざまを見届けているうちに、様々に葛藤が生じていき・・という話。
映画では説明不足ですが、原作では政府内で縦割りに工程を分けて情報を分断し、カプセル破裂日数カ月前でデータをマージするという、お役所的発想をうまく取り入れ納得させていますw
デスノート的な感じながらデスノートより簡単に多くのバージョンが作れそうな、シリーズ化にもってこいのコンテンツと実感^^
人の生死を握られているという設定は、「デスノート」や「死神の精度」などの死神系も多いんですが、政府管理系の作品は枚挙に暇ないでしょう。
本作エピソードは3つ。スカウトされたはいいが、かつての相棒を捨てて思い入れのない楽曲をあてがわれたミュージシャン。政治家の母親の過大な期待に押しつぶされた引きこもりの少年。交通事故で両親を失い、残された失明の妹をわが身なりふり構わず支える兄。これらの中で、一番好きなのはミュージシャンのエピソード。テーマ曲にも使われていますしねw 原作では、かつての相棒は事故で生死のさなかという設定なのですが、映画もこちらの設定にして欲しかったなぁと思ったりww
この原作の上手いところは、法により生死を管理された社会と、生を全うしながらも死を宣告されてしまう悲話を融合させたこと。逆に言えば一話で作られてきたような話を管理社会と悲話に分離させ、管理社会を主軸固定にしつつエピソードを複数分散化させたことでしょう。エピソード自体はそう目新しさはないものもあるし、そういう意味では、星新一の短編「生活維持省」を下敷きにした可能性はかなり高そうですね^^;
続編はいくらでも作れそうなコンテンツ。あとは泣けるエピソードを探せばいいんですから^^