1.《ネタバレ》 良い映画なんだ!間違いなくさー!
けど…少し足りないと思ってた。
いや―――じゃあ、何が足りないか?
作品関係者に言いたい…声を大にして。
まず、「原作の三平」をよぉぉぉぉぉぉく読みやがれ。
あの漫画の素晴らしさってのは…いわゆる「王道のジャンプ式」じゃないところ。
段々と敵が強くなり、モンスター化する要素が殆どない。
――例えば、だ?
小さい魚では「タナゴ(1~2センチ程度)」が出てくる。
そして最大で「ブルーマーリン(1トン直前!)」が出現。
此処に「謎の怪魚」や「(日本だけじゃなく世界各地の)地方の釣り」も挟むので、漫画としても奥が深くなるって寸法。
いや素晴らしいっす矢口先生!
更には、三平の凄い所は、それら魚の登場がランダム。
それぞれの釣りの「楽しい箇所」ってのが確りと描かれてるから読んでても飽きないし、それぞれの釣りに「本格的だな~」と思い、憧れちゃうのが素晴らしいのだ。
そんな釣りキチ三平の映画だが…発表当時も勿論観た。
けど、もう一回観ると更に楽しく閲覧できたのも事実。
うん、俺的には結構好きな映画なんだよな…マジで。
キャストについては、あのキャラを実写化するに当たって(俺は)特に問題はないと思ってる。
取り敢えず、映画に対しての感想をザーッと並べてみよう。
■■【良い点】■■
●キャストと背景●
基本的に凄く好きな、秋田の田舎な雰囲気を醸し出している。
三平君が棲んでる場所の空気感、湿気まで感じられて俺は凄く共感した。
そして三平君を演じた須賀健太君、魚紳さんを演じた塚本高史さん、そして…ユリッペをいい意味で田舎っぽく演じた土屋太鳳ちゃんが良い感じ。
そして、一平爺さんを演じてるのは…渡瀬恒彦さん。
まぁ、原作的な見た目は”大滝秀治”が究極に似合うと思うけど…ただ、やっぱり芸達者な渡瀬さんが素晴らしい演技でカバー。
あの目線や表情が最高で、観ててニヤニヤ出来てしまった。
いやー…映画を支える役者の演技って本当に凄いんだなーと改めて思う。
最初の「鮎の友釣り」のくだりは、俺的には原作の三平らしく好き。
コント赤信号(解散したんだっけ?)の小宮孝泰さんも楽しそうに演じてたし、釣り対決のシーンは相当にリアリティーを感じた。
全員に言えるけど、キャラクターの特徴を継承しつつも「現代風なアレンジ」も有ったりして納得が出来たかな。
もう少し魚紳さんが凛々しいイメージだけど、それで通すと、一気にストーリー的に物事が解決しそうだから…まぁ、しゃーない。
あと、CGを担当した白組さんについて。
魚の動きや、通常画面でも泳いでるところを見せたり…あれは相当に釣り人独自の視点を強めて感動した。
昔、仕事を何度か白組さんとは、させて貰った事があって当時から技術的には感動した会社だった。
あと、行政関係の仕事をした時に、当時の小川社長とよく打ち合わせさせて貰ったなぁ…元気でやってらっしゃるんだろうか。
ともあれ、凄く素晴らしい仕事を、今もされてるのはエンドクレジットなどで社名を観ると…(何故か)嬉しくなってくる。
* * *
■■【ダメな点】■■
●最後の怪魚との釣りがダメ●。
さて、簡潔に書くと…本作のクライマックスシーンの怪魚への釣行。
ここがもう、相当につまらなかった…いや、マ・ジ・でっ!
この当時で考えたらCGは凄く頑張ってると思うんだが、釣りを知らない演出のせいだろう。
それと、フライ・フィッシングは(魚が掛かっても)リールを巻かんよ!
あと、「怪魚を釣ってる時に、背中に乗せる」とか…釣りキチ三平を勘違いしてると思う。
あの描写は、原作でもそういうシーンがあるからって、思い付きで入れちゃダメ。
原作では、リアリティーのお陰で成り立ってたけど…実写にすると滑稽になるっしょ?
まず、「糸が切れたら終わる!」これが釣りの黄金鉄則!
そこをグラつかせる描写は、三平には絶対に入れるべきじゃない。
*
*
ああ…色々と書いちゃったけど…いま思えばアレだ。
本当に――矢口先生は凄い人だった。
作品を通じて、本気で子供の未来を考えてくれた。
だから長期連載した三平君と一緒に、俺たちも成長できた。
心の底からそう思うんだ、本気で。
人間と世界の関わり方…そして地球は水の世界だと。
矢口先生と三平君に教えて貰った。
矢口先生、本当に有難う!
釣りキチ三平は…俺のタカラモノです。
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