2.まず、“パート2”の公開からもう既に10年も経っているということに、色々な意味で唖然としてしまう。
先日、“パート1”がテレビ放映されているのをチラリと見たが、ウィル・スミスもトミー・リー・ジョーンズも当然ながら若い。逆に、久方ぶりに二人揃った今作を見て、両者に対して「老けたな~」と第一声を上げてしまったことは否めない。
特にトミー・リー・ジョーンズはすっかり"爺様”なので、あの年格好で極秘組織の現役エージェントという役所でアクションを繰り広げる様には、さすがに「無理」を感じた。
まあ、そのことを考慮した今回のストーリーテリングだったことは明らかだろう。
それで、今作自体の出来映えが如何なものかと問われれば、充分に「満足」という言葉と使って差し支えない仕上がりだったと思う。
ただしその満足感には、そもそもこの「MIB」というエンターテイメントのファンであるという前提は必要だ。
前二作を観ていなかったり、観ていてもその面白味に浸れなかった人は、観る必要はない。
そう断言してしまって良いのは、もはやこの映画の雰囲気やテンションそれらすべてを包括した世界観自体が、このエンターテイメントが持つ独自の「味」として定着してしまっているからだ。
僕自身、もう15年も前になるらしいが、第一作目の「MIB」を観た時は、想定外に馬鹿げたタイプのテンションに面食らってしまい、正直「面白くなかった」という感想を持っていた。
しかし、その後見返すにつれ、この映画の“味わい方”がじわじわと分かってきた経緯がある。
そういう面を鑑みても、この映画はやっぱり"変わっている”と思うと同時に、卓越したエンターテイメントであるということを改めて思い知った。
これ以上の続編は明らかに蛇足になってしまうので止めた方が良いと思う。
しかし、今作については、大いに強引で大雑把ではあるけれど、主人公二人の関係性を時空を超えた宇宙意思をもって強固に繋ぎ止めたという意味で、ファンにとっては想定外に感慨深い作品に仕上がっている。
10年ぶりの“パート3”により、この娯楽映画の「味」は改めて明確に定義づけられたように思う。
P.S.無類の「タイムパラドックス映画」好きにとっては、この顛末を見せられては、問答無用に「降参」するしかない。