1.たしか「真夜中のカーボーイ」の成功にのったシュレシンジャーがビッグバジェットで大ハリウッド批判を行なった末、大コケにコケて、その後ロクな仕事を貰えなくなった大野心作だったはず。「サンセット大通り」と同じくハリウッドに蠢く敗残者の群れというネガティヴな一面を描いた映画だが、アチラのような苦痛と同情をもって見つめた映画ではなく、ひたすらに憎しみをぶつけたのが悪かったのか。個人的には、ハリウッド批判のしかたが平凡なうえ、主人公のウィリアム・アサートンが何を考えてるのかわからない人だったのが残念だが、クライマックスの集団リンチシーンの凄惨さは、幻影に踊らされる群集の恐ろしさを描いてすさまじい。確かに後味の悪い映画ではあるが、役者はいい芝居してるし、他のハリウッド映画には見られない異様でスペクタキュラーなシーンはたくさんあるし、このまま忘れ去られてしまうには惜しい映画だと思う。