1.《ネタバレ》 どうも山田洋次監督の作品ってあまり得意ではなく、これもまた昭和の古びた笑いを見せられるんだろうなぁ、って思っていましたが、考えてみれば私も昭和の人間でしたね。
橋爪功が笑える爺を好演して、とてもいいです。ロクでもない爺さんなんですが憎めない。この爺さんをめぐる人々のドタバタ喜劇、いや昭和の笑いだって悪くないよ、と。
『東京家族』とキャスト丸カブリってどうなの?って思いましたが、対を成すような作品でその違いを楽しむ作りになっていました。
とは言えあちこちに散りばめられた自作パロディや(本広克行作品か?っていう)、お年寄りに媚びてますってのが丸出しのネタ(正蔵が三平の「どうもすいません」をやってみせる、っていうね)なんか、それはどうなのよ?って。そもそも橋爪功と吉行和子の夫婦っていうのは元々和泉聖治作品の『お日柄もよくご愁傷さま』『大安に仏滅!?』っていうのがありますし、『おとうと』『東京家族』『母と暮せば』と最近の山田洋次作品はオマージュというか再生産というか、新しいものを立ち上げようって気は感じられないよねぇ、って思ってしまうのも正直なところで。
『東京家族』とこれと、妻夫木聡と蒼井優の二人に次代に繋がる希望を託している感じがありますが、ならばいっそ二人をメインに据えた作品を作ってもいいんじゃないかなぁ。