5.《ネタバレ》 ズタズタにカットされまくった地上波テレビという悪条件での観賞でしたが、それでも十分に楽しめました。と言うより、この映画はたまたまテレビで見るぐらいがちょうどいいんですかね。最後のもうひと盛り上がりがないため、まともな媒体で見ていればちょっと物足りなく感じたかもしれません。終盤の銃撃戦のグダグダ加減などはかなりのものでした。。。とはいえ、「オーシャンズ11」「スコア」「ミニミニ大作戦」と強盗映画が連続していた時期にあって、本作の脚本の出来はそれら作品の中で最高のものでした。さすがはデヴィッド・マメットだけあって構成は緻密であり、かなり大胆なドンデン返しが連続するものの論理的に破綻していません。物語の視点を終始ジーン・ハックマンに絞り、他のことを描かなかった取捨選択も的確で、かなり複雑な犯罪計画をほとんど混乱なく観客に伝えることに成功しています。シャープなセリフ回しも魅力的で、年季の入ったおじいちゃん強盗団には「修羅場を生き抜いてきたプロフェッショナル達」という凄みが溢れています。↓ウメキチさんも書かれていますが、観客に解釈を委ねたラストも面白かったです。ジーン・ハックマンは、若くて美人で自分には不釣り合いな女房が裏切るであろうことを計算に入れていたのか、それとも、女房は若いチンピラを巻くために芝居を打っていたのか、鑑賞後にもあれこれ考える楽しみがありました。こうした遊びを入れてくる辺りも、小慣れた脚本家ならではの巧さなのです。残念なのはマメット自身が監督も担当したことで、この脚本をプロの監督に任せていれば、相当な映画になったはずです。