23.《ネタバレ》 スティーブン・キング原作は未読だが、さすがにサスペンスがうまくて最後まで見せてくれる。 とにかくキャシー・ベイツがすばらしい。「ミザリー」でのイカれたストーカー女も真に迫っていたが、ここでは愛する娘に疎まれている孤独な母。 娘を思う慈愛に満ちた優しい目。娘と通じ合えない哀しい目。頑固でふてぶてしい面構えの中で、ときおり見せる違う表情にやられる。 【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 7点(2017-12-26 22:57:12) (良:2票) |
22.主演が他ならぬキャシー・ベイツなので、「本当に殺したのかもしれない 殺さなかったかもしれない」と最後まで興味を持って見ることができました。ラストで離れていた親子の心が近づいて、ほっとしました。 【次郎丸三郎】さん [DVD(吹替)] 7点(2017-05-03 20:09:29) |
21.《ネタバレ》 邦題をつけた人は悩んだでしょうね~。 原題「ドロレス・クレイボーン」にしたら、入る客も入らんだろう…と考え、頭をひねったに違いありません。 実際に観てみると、この作品は「ドロレス・クレイボーン」という映画以外のなにものでもなく、頑張って考えたであろうタイトル「黙秘」は、テーマからやや…いえ、かなりズレています。 この映画は「母と娘」の話ではなく、「娘を思う母」のストーリー。「ドロレス・クレイボーン」の物語なのです。 よくできた映画だけど物足りない、と観る側に思わせてしまうのは、観る側が「ドロレス・クレイボーンの物語」を観に来た、という自覚がないせい。「黙秘」を観に来た観客だからです。 作品「ドロレス・クレイボーン」として観ると、なぜこのシーンでこの見せ方?なぜ曖昧なセリフ回し?なぜここでその撮り方?といった疑問がキレイに払拭されます。 ファーストシーンからラストシーンまで、すべてドロレスの人生、ドロレスの選択、ドロレスの意志を描いているのです。 実はワタクシ、15年以上前にこの作品をレンタルして観ているのですが、その時はドロレスの夫のDVが非常に衝撃的でした。 現在ほどDVや虐待が一般に認知されておらず、「特殊な事」だと思われていた風潮のせいもありますが、ごく普通の田舎の妻が夫から激しいDVを受けたシーンは、とてもリアルで怖かった。 そして、暴力を受けた同じ日のうちに夫に対して命がけの反撃をし、しかし娘にだけは何も知らせないように努力するドロレスに、子を愛する母の強さを見ました。 この作品は、謎解きでもサスペンスでもなく、閉鎖的な地方の男社会の中で生きる中年女性ドロレスを描いたストーリーなのです。 無力な立場にいても、決して無力ではない。たとえ自分の手を血に染めようとも、守るべき大切なものを最後まで守り抜く。 そんな、虐げられる立場のひとりの傑出した女性の物語でした。 【りりらっち】さん [地上波(吹替)] 7点(2014-05-10 00:57:05) (良:2票) |
20.K・ベイツとJ・J・リー、当代きっての芸達者二人が陰気な顔対決。虐げられた女たちの悲しさが背景にあるだけに、まあ全く暗い話です。しかし上手い。とりわけK・ベイツ。話の展開上、ドロリスは真犯人なのかどうなのか明かされる迄の前半部分の演技はどちらとも取れる微妙な演技が要求されるわけだけど、さすがに巧い。真実を娘に明かした後の、憑き物が落ちたような穏やかな表情、これも印象的。陰気ながらも多彩な表情を見せるベイツに比べ、リーはずっと一本調子な暗さで、演技対決では大ベテラン女優に軍配が上がる。ストーリーはしんどいけど、二人の女優の重厚感は見ごたえ充分。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2013-12-02 00:53:35) |
19.《ネタバレ》 キャシー・ベイツ、ジェニファー・ジェイソン・リーの親子にまつわる20年前の日蝕の日の父親の事件と今回の女主人の事件。 両方の事件に関わったとされるキャシー演じるドロレスから語られる真相とは!? 邦題『黙秘』って割りにはちゃんと語られるので、チョット題名的にはどーなのかなぁと思いましたねぇ。 ただ物語の見せ方や演者の達者ぶりで、緊張感を保って見ることができました。 父親(夫)と娘、ドロレスの関係こそどーしよーもないものがありましたが、娘とドロレス、女主人とドロレスの関係性は興味深かったです。 やはり人間、愛情や憎悪だけの関係なんてありえませんよね。 女主人の事件に関して、刑事はドロレスが女主人に『殺してやる』と悪態をついてたような証言をかさにきますが(確かに回想シーンでも女主人の厳しさは異常なものがあって印象に残ります)、やっぱり20年以上勤める中にはそれなりの絆ってもんも生まれるわけですし、絆以上のもの(父親の事件にも大きく影響を与えるほどのもの)も出てくるわけです。 ドロレスと娘の関係もまた然り。 過去にとらわれ反目してるように見える娘も、やはり憎しみやあきらめだけじゃありませんもんね。 ミステリーとしてはそうでもありませんが、人間の機微を感じることができる(またこのバランスをとりきった点においても)素晴らしい作品だと思います。 【ろにまさ】さん [地上波(吹替)] 7点(2013-05-28 14:48:51) |
18.横溝原作か? 先の展開がきれいに読めてしまうストーリーだったけど、 キャシーベイツはやっぱりすごい。 原作が絶版のためわざわざ原書を買ったのに、 がまんできなくて先に観てしまいました。 |
17.《ネタバレ》 キャシー・ベイツの役作りが徹底しすぎていたためか、ドロレスの眼に一点の曇りも感じられず、「この母親は口は悪いが間違いなくいい人」という目で見てしまったので、殺す展開も殺さなかった展開も意外性は感じられなかった。繰り返される昔の幻影も自然でよかったが、飲んだくれの夫が大きなのし棒で妻の背中をひったたく直前まで、家族の思い出が「ほのぼのホームドラマ」だと思っていた自分浅すぎ。超サスペンスじゃないっすか(汗 ヴェラとあそこまでの関係が築けたのは「(事件は違うが)共犯者」という秘密を共有していたせいだったのか。薬とお酒が手放せない教科書のようなAC娘の背後にはやっぱりお手本のような虐待親父がいましたという設定も、今でこそ陳腐だが16年前は充分新しかったと思う。 見終わった後の清涼感みたいなものは残念ながら皆無。いっそのこと悪評だらけの島を出て、新しい町で新しい家を買ってエヴァの遺産で幸せに余生を送って欲しい、苦難と我慢だらけの人生の最後くらい報われてもいいじゃない…と暗い空のまま迎えたエンドロールを見ながらそう願った。 【りんす】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2010-02-15 16:21:19) |
16.《ネタバレ》 邦題が不評のようですが、私は良いと思いました。自分を含めて原作を知らない人には「ドロレス・クレイボーン」と言われるよりは物語の核心に迫っていると思います。娘は父親からの性的虐待を忘れていたようです。そのために、母は20年間、警察は勿論、娘にさえ父親の死の真相を黙秘した。あんな父親でも母が殺したという事実が娘に与える影響を恐れた。夫殺しの動機が明るみに出ることは、さらに恐れた。娘が虐待を口にしないなら尚更だ。当の娘は(ショックで?)虐待の事実を忘れていたために、母に対して夫殺しの疑念を抱いていた。このすれ違いというか、お見合いを20年も続ける母の精神力は相当なものだ。これが母親の愛情ということか。でもキャシー・ベイツは演じきってましたね。キャシー・ベイツだから、かな。娘の記憶が蘇るとともに、多くの謎が明かされますが、今作は謎解きが目的の映画じゃない。当時の、そしてその後の20年間の、母の想いと娘の想いを邂逅させるための謎解きです。完全なハッピーエンド感が無いのは、母が二人の人を手にかけている事実があるからでしょう。でも、この母は全てを覚悟してことに臨んおり、娘は母を理解しました。自分はハッピーエンドと思ってます。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-05-27 12:01:35) |
15.《ネタバレ》 男社会において弱い立場の女性が、男に翻弄される不幸な境涯から、何とか逃れようと必死でもがく物語。ヴェラはお金持ちだが、夫から無視され続けていた。それで使用人達につらく当たる意地悪な性格となってしまう。ついに耐え切れず、愛人宅から車で帰る夫を事故に見せかけて殺害する。 セリーヌは男性が信用できず、恋人関係にはならず、行きずりの関係で終わってしまう。ジャーナリストで出世の為に体まで許した男性上司に冷たくあしらわれ、ついには裏切られる。母親が父親を殺したと考え、家を飛び出し、何年も音信不通の状態。精神的にぼろぼろで薬に頼る毎日。後半には父親から受けた性的虐待の記憶がよみがえる。 ドロレスはアル中の夫からつねに侮られ、暴力を受ける。夫が娘セリーヌを性的虐待しているのを知り、娘と逃避しようとする。が、娘の学費貯金はすでに夫が引き出していた。泣き崩れるドロレス。 ヴェラはドロレスの境遇に同情して、”事故にみせかけた夫殺し”を暗示する。 このことでドロレスはヴェラに恩義を感じ、そのため、ヴェラがぼけ老人になっても、住み込みで親身になって面倒を看つづけた。22年もの間だ。ふたりは普段はいがみ合っているが、これは自尊心を取り戻すための”生きるよすが”。それが証拠にヴェラはドロレスに全財産を譲る遺言を作成している。気高いヴェラは老衰しきった姿で生き続けるのに耐えられず、自殺願望が芽生える。そして階段から墜ちるという自殺を試み、未遂で終わるとドロレスに殺してくれと嘱託殺人を依頼。 これにドロレスを執念深く追い詰める老刑事をからめ、物語は複雑さを増していく。 物語は、夫の死とヴェラの死の真相という謎を中心に展開。キングにしては珍しくミステリー仕立てで、細部まで練られた完成度の高い。 難を言えば、謎の真相が半ばで、あらから見当がついてしまうこと。 第三の殺人や悲劇が起こる気配がまったくなく、安心してみていられる。つまりハラハラしないのだ。 ドロレスやヴェラをもっと不気味なキャラにし、観客に何かが起こると期待させた方が良かった。 またドロラスは娘の身の上をずっと案じていたにも関わらず、長い間、音信不通になっていたという設定は、少々不自然。連絡がつかない何か理由がほしかった。 俳優達の演技はみな光っていました。特に夫は、ほんとうに憎らしくおもえるほどでした。影の功労者でしょう。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-01-31 01:23:24) |
14.《ネタバレ》 雰囲気のある映像でサスペンスが見られると、得した気分になりますね。 時間とともにいやな予感がふくらんできて、ラストでやりきれない気持ちにさせる作品て良いものです。 スティーブンキングの原作ものって、はっきり言ってふざけてんのか?と思うものばかりなんですが、時々こういうちゃんとしたやつがあるからやめられません。 【黒猫クック】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2008-09-26 23:30:46) |
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13.《ネタバレ》 娘に手を出して父親が殺されちゃう展開の映画を1日に2本観ました。 【オドリー南の島】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2007-06-23 00:55:12) |
12.《ネタバレ》 回想シーンに移行する時の、まるで過去と現在が溶けあうような自然なカメラワークや、彼女の罪をまるで太陽の目から隠してやるように訪れる日蝕の演出など、随所にセンスの良さが見られる。 結局、自分の人生を良くするも悪くするも、それは自分自身の選択と決定の帰結でしかない。夫婦間の問題も、子供との関係も、友人との関係も、相互理解と相互依存の関係を自覚し、一歩先を予想する想像力さえあれば、それほど状況が悪くなることはないはず。 キャシー・ベイツ演じる彼女の人生も、殺人(見殺し?)を抜きにすれば、どこにでもあり得る平凡なもの。ただ、自分を律することが出来ない男と結婚したのも、その本質を見抜けないまま子供を惰性的に作ってしまうのも、またその夫を精神的に支え切れなかったのも、結局は本人(無論、夫も)の選択と責任の結果でしかない。そして、その「自覚」と「想像力」が無い者ほど、人生においてトラブルを起こしやすく、また自分で問題を複雑化してしまうように思う。自分の人生の顛末は自己責任が当たり前。そんなリアルな教訓に満ちている佳作。 ただ、あえて難を言えば、皆さんの指摘にもあるように、基本的に脚本自体が単純すぎる点かな。人間ドラマは秀逸なだけに、ストーリー展開の弱さが目立つのが残念。 【FSS】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2007-04-15 16:32:53) (良:2票) |
11.キング+キャシーなら当然「ミザリー」が有名ですが、この映画はまた違う良さがありました。なんと言ってもドロレス役のキャシー・ベイツの演技が圧倒的に素晴らしい! ついで、父親の娘への性的虐待・母娘の葛藤…そして確執。アメリカの家庭事情を丸写しにした内容で全体的に重い作品ではあるものの、そこは作品とキャシーに対する演出と見れば良し。 【_】さん [地上波(字幕)] 7点(2005-08-01 19:53:45) |
10.地味ですが、見ごたえのある佳作です。現実のシーンと回想シーンのつなぎ方がうまいですね。もちろん、キャシー・ベイツの演技はすばらしい。 【ジム】さん 7点(2005-03-29 20:15:30) |
9.キングらしくはないけど、結構気に入った作品。 キングとベイツこの二人が組めばいい映画になるなあ。 ミザリーを見た後に本作を見たのでベイツの深みのある演技には驚かされた。 過去と現在が交錯し、二人の死を通して母と娘の関係、母とヴェラの関係が明らかになり、そしてその関係が深く描かれている。 日蝕がまた一つのキーワードなのかもしれない。 夫と妻、母と娘、雇い主と使用人、それぞれに目に見える光の部分と見えない闇の部分がある。 日蝕のような日中起きるはずのない闇が光を包んだ時に、明かされることはない闇に包まれて事件が起きているような錯覚を覚えた。 「事故は不幸な女の友達」「悪態をつくのが生きるよすが」「生きるためには悪女にならなくては」等々なかなか深いセリフには、しゃべったキャラクターの生き様を考えると色々な複雑な想いを感じられる。 |
8.ずいぶん前に見た覚えはあるけど内容はすっかり忘却の彼方でした。録画してあるビデオを引っ張り出して再見。思い出した思い出した。キャストは華やかではないけれど力強い俳優なのがよいです。現在から過去へと移行するシーンが流れるようで、寒々とした現在、ノスタルジックな過去の雰囲気というのもいい。ヴェラとドロレスはいわば共犯の関係でありながら悪態つきあって身を寄せ合っていたというのが気に入ってます。ヴェラが告白するシーンがいちばんいいわね。 【envy】さん 7点(2004-08-18 16:51:12) |
7.真相が徐々に明らかになってくる様子がおもしろかった。娘に対する母の愛情が一本しっかり貫かれていてそこが柱になってたね。セリーナが鏡を見たとき自分の後姿が映っていたシーンが印象的だった。しかし家庭がおかしいと人生狂うよなぁ。相手を選ぶのって難しいものなのかな、やっぱり。にしてもキャシーベイツはいい!キャシーベイツ目当てで観たけど演技が極上だからこの人を軸にした映画には外れがないわ。 【日向夏】さん 7点(2004-05-29 20:05:25) |
6.《ネタバレ》 発見された状況から、ずっと犯人では?と思われる主人公。それは全くの他人から子供、映画を見ている者全てがその方向へと。それは普段全く関心が無い、もしくはコミュニケーションが無い者への扱いであると感じます(フランケンシュタインを見るような。)。まさに、原題どおりドロレス・クレイボーンの人間性や、過去を理解する事により、それが偏見であると判る。この疑心からの開放が出演者の演技もあいまって惹き付けられる作品でした。 【森のpoohさん】さん 7点(2004-05-26 23:18:21) (良:1票) |
【ぷー太。】さん 7点(2004-03-21 22:32:46) |
4.地味で、画面は暗いです。主に女優さんが物語を動かすんですが、お世辞にも華があるとは言いがたい方々。しかし、長年心の奥底に溜めてあったそれぞれの悲しみを徐々に知るうちに、ああ、これはこの人たちの持つ、華々しさではなく見事な粘土細工を作り上げるような力が必要な作品なんだなあと実感しました。 血の繋がった母子の愛と、血の繋がりはないけれど深い信頼関係の上にある愛を感じることができました。 【のはら】さん 7点(2004-02-11 18:33:44) |